文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/523回テーマ 「オリンピックと商標権」編

2019年04月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

2020年オリンピック、パラリンピックまで1年ちょっと。この大チャンスに乗じて、自分の会社の商品を売りたい!…という中小企業の方も多いのではないでしょうか?そこで本日の『くにまるジャパン 極』では、「オリンピックと商標権」というテーマでお話ししてきました。

まず気をつけなければならないことは、商品名に「オリンピック」という言葉を使ってはいけないということです。たとえば「オリンピック饅頭」「オリンピック煎餅」等は、「商標法違反」に該当します。

商標というのは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、会社のマークとか、商品名等を指す言葉です。これを特許庁に申請して正式に商標として登録すると、「商標権」という「権利」が保証され、他の会社等が、同じ商標や似た名前の商標を使う事ができなくなります。

「オリンピック」という言葉は、IOCによって商標として登録されています。そのため、たとえば、野村邦丸商店が無断で「オリンピック饅頭」を売り出すとIOCから勝手に使わないよう請求されますし、オリンピックの名前を使って不当に儲けた分を弁償するように求められたり、刑事処分の対象にもなります。

日本語の「五輪」については、実は最近まで登録されておらず、IOCは2017年12月、ようやく出願しました。ただ「五輪饅頭」なら良かったかと言えば、そんなことはありません。「オリンピック」という商標が登録されていれば、似た名前もつけられないので、「五輪」は当然、オリンピックを想像させますから違法です。

他にも、JOCは「がんばれ!ニッポン」を登録していますし、東京2020組織委員会は「TOKYO2020」や、「みんなの輝き、つなげて行こう」という標語、さらにマスコットの「ミライトワ」「ソメイティ」も登録済みです。

マスコットの名前については、国内外で同じ名前で登録されている物は商標登録できないので、組織委員会は徹底的に調べたはずです。他と重複しないようにして、どうしても覚えにくいような名前にならざるを得なかった部分があると思われます。

JOCは、「日本選手、目指せ金メダル」や「日本代表、応援します」等の表現も使えない、と言っています。そういう商標登録は存在しませんが、「がんばれ!ニッポン」をイメージさせるから商標法違反だと言うのか、あるいは商標登録はないけれど不正競争防止法違反だと言う趣旨なのかもしれません。

不正競争防止法というのはブランド物の偽物を取り締まったりする法律ですが、シャネルやヴィトン等の著名な商標については、似た名前で商品を売り出すのもNGです。例えばある裁判で「シャネル」という名前をつけたスナックが訴えられたこともありました。長年の経営努力で形作られてきたブランドにタダ乗りすることは許されませんし、そんな事を認めたらブランドの価値が下がってしまうということです。

先日、組織委員会は「大会ブランド保護基準」を発表しましたが、お店がホームページに「オリンピックエリアに新店舗オープン」といったニュースを載せるのも、ご法度だそうです。

ただ、ラジオやテレビの放送で「日本代表がんばれ」と言うことは大丈夫です。オリンピックを連想させる名前で商品を売ったり、サービスを提供しなければ、問題はありません。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇523回テーマ
 「オリンピックと商標権」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士