文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/522回テーマ 「働き方改革で有給休暇の何が変わるの?」編

2019年04月02日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

新年度が始まりましたが、法律の世界でもいろいろな新しいことがスタートしています。昨日、4月1日には「働き方改革」として労働基準法が改正、施行されました。具体的にどこが変わったかというと、労働時間の上限規制が設けられたり、有給休暇の取得が義務化されたりしました。
そこで本日の『くにまるジャパン 極』では、「働き方改革で有給休暇の何が変わるの?」というテーマでお話ししてきました。

今回の改正により、すべての使用者は、年休が10日以上付与される労働者に対して、付与された1年以内に5日の時季指定を行って、年次有給休暇を確実に取得させなければならなくなりました。例えば、「あなたは4月2日、休んでください」といった形です。

これは管理職にある人はもちろん、契約社員、派遣社員、パートタイマーやアルバイトも含まれます。ただし、今までに付与されている年休は対象外で、今年度以降のものに限られます。

日本の有給休暇の取得率は50%を下回って悲惨な状況です。政府はこれを改善して、2020年までに取得率70%を目指して、今回の改正に踏み切りました。とにかく5日は休んでもらって、心身ともにリフレッシュし、仕事と生活の調和を図ってください、というのが「働き方改革」の狙いだそうです。

しかし、労働者にとっては良いことですが、使用者にとっては、残念ながら負担が増える改正になっています。具体的には、やらなければならないことが3つあります。

1つ目は、労働者の年休を管理する帳簿を作り、一定期間、保管することです。ただ、入社日の違いなどで、この管理はかなりややこしくなるので、たとえば特定の日に一斉に年休を付与するといった対応が増えてくることも考えられます。

2つ目は、就業規則に時季指定の対象となる労働者の範囲、及び、時季指定の方法などについて記載することです。就業規則の改定が不可欠なので、専門家のチェックも必要です。

3つ目は、有給休暇の時季指定にあたっては、労働者の意見を必ず聞き、希望どおりの実施は難しくても、意見を尊重するよう努めることです。

もし、使用者が時季指定をしない、就業規則へ記載しないといった違反をした場合には、罰金が科せられることになります。

使用者にとってはなかなか厳しい改正ですが、管理しながら確実に年休を取得させる方法として「計画年休」という方法があります。
これは使用者が、従業員が年休をとる日を労使協定に基づいて一定の制限の下に決められる制度です。ただやはり就業規則の改定が必要ですし、労使協定も簡単に結べるものでもないので、導入できる企業は限られます。どうやって5日を休んでもらうかは、それぞれの企業が、実情に合わせて知恵を絞らなければならない状況です。

どうやって年休を管理し、取得してもらうか、専門家であればそれぞれの企業に合った形をアドバイスできますので、お気軽に弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇522回テーマ
 「働き方改革で有給休暇の何が変わるの?」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士