文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/518回テーマ 「離婚慰謝料」編

2019年03月05日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今朝の『くにまるジャパン 極』では、離婚にはつきものの「慰謝料」についてお話してきました。例えば、妻の不倫が原因で、夫は離婚を余儀なくされて、精神的苦痛を受けたという場合、それを理由に、慰謝料を請求することができます。これを「離婚慰謝料」と言います。実は先月、この離婚慰謝料を、不倫相手に請求できるかどうかについて、最高裁判所が判断したので、ご紹介いたします。

不倫によって離婚に至ったのだから、当然、離婚慰謝料を不倫相手にも請求出来るとお考えの方も多いのではないでしょうか。実際、1審、2審の裁判では、不倫相手にも離婚慰謝料を「請求できる」という判断でした。しかし、最高裁判所は、「不倫相手の男性に対して、離婚慰謝料を請求することはできない」と判断しました。なぜひっくり返ったか?最高裁判所は、離婚するかどうかは、協議の離婚にしても裁判での離婚にしても、本来は夫婦が決めるべき事柄であって、たとえ、その不倫によって離婚することになったとしても、離婚の責任を第三者である不倫相手に負わせるべきではない、と考えたわけです。

ただし、不倫相手は何も責任を負わないで済む、ということではありません。もし妻が不倫したという場合、夫は、妻とその不倫相手の双方に対して、不倫されて精神的苦痛を受けたことを理由にして慰謝料を請求することができます。これを「不貞慰謝料」と呼ばれるもので、不倫相手は夫に不貞慰謝料を支払わなければいけません。

では、どうして今回の裁判で、不倫された夫は、妻の不倫相手に対して、不貞慰謝料ではなく離婚慰謝料を請求したのか?
結論から言えば、不貞慰謝料の方は、時効になっていたわけです。慰謝料を請求する権利は「損害と加害者を知ってから3年間行使しないと消滅する」と定められています。このケースでは夫は、妻の不倫を知った後およそ4年間、妻と同居を続けていましたので、この間に不貞慰謝料は時効となっていたわけです。そのため、不貞慰謝料ではなく、離婚慰謝料として請求したというわけです。

今回の最高裁判所の判断で、離婚慰謝料は全く認められなくなったかというと、そういうわけではありません。例えば不倫相手が、その夫婦を離婚させることを意図して、婚姻関係に対する不当な干渉をするなどした結果、離婚へと追い込まれてしまった場合には、離婚慰謝料が認められる可能性もあると思います。ただし、かなり限定的な場合と考えた方がいいでしょう。不貞慰謝料や離婚慰謝料を請求できるかどうか、不倫で離婚を真剣に考えているという方はホームワンにご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇518回テーマ
 「離婚慰謝料」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士