文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/494回テーマ 「パワハラをなくすには?」編

2018年09月18日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

スポーツ絡みで話題になることの多い「パワハラ」。最近では、体操の宮川紗江選手に対する、パワー・ハラスメント問題がニュースとなっています。そこで、本日の『くにまるジャパン 極』では、「パワハラをなくすには?」というテーマでお話をしてきました。

宮川選手の記者会見を拝見しましたが、パワハラ問題のポイントがきちんと整理された会見でした。私が見るところ、ポイントは3つあります。第一に、コーチのパワハラがあったと宮川選手自身が認めたこと、第二に、コーチに対する無期限資格停止の解除を求めたこと、第三に、強化本部長からのパワハラを提起したことです。

この問題が明らかになった当初、宮川選手はコーチの仕打ちはパワハラとは考えていないと発言していました。しかし会見ではこれを改め、確かにパワハラだったと認めていました。やはり、パワハラをなくすには、する側だけでなく、される側も考え方を改めなければならないと思います。

今回、コーチが行ったのは、パワハラというか体罰です。被害を受けた方が「これは私のミスが原因だから仕方ない、コーチもしたくてしている訳ではない。我慢しなくちゃ…」という受け止め方だと、パワハラ・体罰はなくなりません。周囲も「本人がいいと言っているから問題ない」という声が出て、どんどん体罰を肯定する方向に向かってしまいます。

会見で、もし宮川選手が「パワハラと思ってない」と発言していたら、協会側も、コーチと宮川選手を引き離す方針を取らざるを得なかったでしょう。いったんパワハラを認めて、処分を受け入れ、その上でコーチの無期限資格停止の解除を求めると言うのは、賢明な判断だったと思います。

そして現在、さらに大問題になっているのは、強化本部長からパワハラを受けたという主張です。

会見だけでは事実かどうかわかりませんが、70歳と18歳、強化本部長と一選手という立場の違いを考えれば、本部長の一言一言には重みがあり、選手が受けるプレッシャーも相当なものです。
立場が上の者は、そうしたことを前提に言葉を選ぶ必要があります。保護者の立ち会いを求めてもよかったと思います。

スポーツ関係以外でも、不正融資問題が起きた銀行の、従業員に対するパワハラも注目されています。このケースでは、「数字ができないならビルから飛び降りろ」とか「お前の家族皆殺しにしてやる」といった発言が上司から出たそうで、だいたい企業の不正が問題になると、パワハラがセットで出てくることが多く見られます。

自分から進んで不正に関わろうとする人間はまずいません。上司が、パワハラで、従業員の意見や悲鳴を押し潰してから、不正に走らせる。部下も、一度で不正をやってしまうと、自分からは声を出せなくなります。

パワハラをした上司もその上からパワハラを受けている場合が多く、そうしてパワハラが従業員を壊し、ひいては会社そのものを壊してしまうというのはよくあることです。

パワハラには自分なりの「正義」があることが多く見られます。試合に勝つため、教育のため、売り上げアップのため、そういう「正義」を振りかざされると、周囲も本人も反論しにくい。だからトップのパワハラは最悪で、逆にトップ自らが強い覚悟で「パワハラをなくす」と宣言し、根絶しないといけません。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇494回テーマ
 「パワハラをなくすには?」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士