文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/478回テーマ 「交通事故 過失相殺とは?」編

2018年05月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

5月は交通事故に焦点を当ててお話ししてきました。最終回の今回のテーマは「過失相殺」です。例えば、運転中に子どもが飛び出してきて事故になった場合、被害者である子どもにも非があることを考慮して、加害者である運転手が支払う損害賠償の金額は減額されるのか、というようなお話です。

交通事故などの損害賠償額は、被害者にも何かしらの過失があった場合には、それを考慮して損害額を定める「過失相殺」という制度があります。急に道路に飛び出してきたような場合や、赤信号の横断歩道を渡っていた場合などには、この「過失相殺」という制度が適用され、賠償額が減額される可能性があります。

ただ、子どもが大人と同じように車に気をつけて行動することは難しいので、被害者の年齢が考慮され、過失相殺の対象とならない場合があります。しかし、子どもでも3歳ぐらいになれば、車が危ないことはわかっているはずなので対象となる場合が出てきますが、その場合でも、責任の割合は大人よりも低くなる傾向にあります。

また、子どもが事故に遭い、両親が現場近くにいて目を放していた場合には、親にも責任があるということで、親も含めた被害者側の過失を全部合わせて、過失相殺を行なうことになります。

ここで言う「被害者側」とは「身分上」ないし「生活上」一体をなすとみられるような関係にある者をいいます。身分上一体、というのは幼児の監督者であるご両親等、生活上一体は「財布が一つの関係」にある者ということです。
今回の場合は「身分上一体」のため、親は「被害者側」となり、親子の過失を合算して、損害賠償からマイナスします。

ややこしいのは「生活上一体」です。こちらは「同じ財布で暮らす関係」のこと、つまり多くの場合は「夫婦」です。たとえば、夫の助手席に乗っていた妻が、信号を無視してきたクルマにぶつけられ、ケガをしたとします。
妻は加害者に対して損害賠償を請求するわけですが、この時、夫に過失があった場合は、夫の過失分がマイナスされます。


原則から考えていくと、まず、加害者が被害者(妻)に全額を支払い、その後、加害者は、過失のある被害者側の人間(夫)に責任分、の支払いを求め、被害者側がこれを支払うことになります。
でも、この通りにやると手続きが複雑になってしまいます。加害者が、最初から夫の過失分を差し引いた金額を被害者に支払ってしまえば、一度の支払で済みます。このような理由で「同じ財布で暮らす家族」全員が「被害者側」として、過失相殺の対象となっています。

多くの場合、加害者は被害者側の過失を主張して、少しでも賠償額を減らそうとしてきます。そんな時は、弁護士に依頼して加害者との交渉を任せるのもひとつの方法です。交渉次第で、賠償金額がアップする可能性もありますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇478回テーマ
 「交通事故被害 過失相殺とは?」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士