文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/472回テーマ 「新社会人月間③ どこからパワハラ?」編

2018年04月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

4月も半分が過ぎ、新しく社会人になられた皆さんも、だいぶ職場に慣れてきた頃ではないでしょうか。「くにまるジャパン 極」内でお送りしている「新社会人月間」、3回目の今日は最近のニュースでも話題のパワハラ、パワー・ハラスメントについてお話ししてきました。

普段の仕事の中で、時には上司が部下を叱る必要がある場面もあります。ただ、どこからがパワハラになるのか、そこが難しいところです。世代によって認識も異なりますし、部下のため、と思ってやったことが結果的にパワハラになってしまったり、無意識のうちにパワハラをしているケースもあります。

実は、パワハラとは何かについては、法律上の定義がありません。ただ、厚生労働省が定義をしていて、一般的には「職権などのパワーを背景として、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を続け、それを受けた就業者の働く環境を悪化させ、あるいは雇用に不安を与える事」をパワハラと言います。

いくつか具体例を挙げると、まずは、「お前なんか給料泥棒だ」という、人格を否定するような暴言の類。また「無能だな」程度の言葉でも、指導の度に繰り返すとなるとパワハラです。椅子を蹴飛ばしたり、書類を投げつけるなどの乱暴な行動。仕事にかこつけてとうてい実現不可能な作業をさせること。逆に仕事を何も与えない、私的な買い物をさせるなど、業務に関係ない行為をさせること。こういった行為がパワハラに該当します。

でも、上司や先輩の側に立ってみれば、「パワハラと思われたらどうしよう」と過度に遠慮してしまうこともあるかもしれません。
自身がパワハラをしているのかどうかをチェックするポイントは「感情に任せて注意していないか」です。感情的になっている時はパワハラを行ないがちです。また、パワハラをしている人は自分で気づかないことが多いので、周りの人々や、さらにその上の立場の人間がチェックしないと、パワハラをなくすのは難しいと思います。

会社ができる対策としては、パワハラが何かということが、法律的にきちんと定義されていないので、会社の方で「こういうことをしたらパワハラですよ」と、該当する行為を明文化するのが効果的です。
また、定期的にアンケートを行なってパワハラがないか調べたり、管理職向けの研修を行なうことも必要です。これらの細かい気遣いが、従業員を守り、ひいては会社を守ることにも繋がります。

もし、実際にパワハラ被害に遭ってしまった場合は、まずは人事部などに相談し、内部での解決を目指すのが筋です。
ただ、会社によっては、逆に上司をかばう態度に出てくることもあり、その場合は裁判など、法的手段を取ることが考えられます。
上司本人に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求、使用者である会社に対しては、同じく不法行為責任としての使用者責任の他、職場の環境について配慮しなければならない義務に違反した等、労働契約上の債務不履行責任等に基づく損害賠償請求が可能だと思います。

結局、パワハラを黙認することは会社にとってマイナスです。個人の意識も大事ですが、それ以外に、会社が組織としてパワハラをなくすよう取り組む必要があると思います。新社会人にとって働きやすい職場環境を作るため、新年度を迎えた今こそ、一度お考えいただければ、と思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇472回テーマ
 「新社会人月間③ どこからパワハラ?」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士