文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/470回テーマ 「新社会人月間① 会社でパソコンを使う時」編

2018年04月03日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

新年度がスタートする4月、真新しいスーツに身を包んだ新社会人が初々しいですね。そこで今月は、「新社会人向け月間」と称して、社会人として身につけておきたい、法律にまつわるあれこれをお話ししたいと思います。1回目の今日のテーマは「社内でパソコンを使う時の注意」です。

会社から給料をもらって働く以上、勤務時間は仕事に専念しなければなりません。これを「職務専念義務」と呼びます。例えば、国家公務員の場合は、「職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い、職務にのみ従事しなければならない」と法律で定められています。

言葉通りの解釈だと、雑談もできないし、飲み物を買いに行くのも禁止になってしまいますが、普通は、この程度では問題になることはありません。仕事に支障が出ず、会社にも迷惑をかけないなら、勤務時間中に仕事と関係ない事をしても職務専念義務の違反にはならないと思います。

ただし、同じ息抜きでも、会社のパソコンを仕事以外の目的に使うのは、ほんの少しでも問題になるかも知れません。会社は社員がどんなサイトにアクセスしたか、その気になれば全部調べられるのが普通だということを、覚えておいていただきたいです。

一方で、会社が社員のインターネットの閲覧履歴や、メールの内容をチェックすること、プライバシーの侵害に当たるという側面も持っています。そのため会社側は、社員のパソコンの利用状況を調査する場合、事前に調査目的や方法など、ルールを明らかにしておく必要があると言われています。

以前、仕事と関係ないメールのやり取りを、会社に無断チェックされた社員が、会社を相手に、プライバシー侵害だと訴えた事件がありました。
裁判所の判決では「業務上の必要性や相当性があれば、無断でメールをチェックしてもプライバシーの侵害にはならない」とされました。逆に言えば、必要性のない興味本位でのメールチェックは、プライバシーの侵害に当たり得る、ということです。

ネットの閲覧履歴とか、個人的なメールのやり取りに、プライバシーが認められるのは確かです。とはいえ、仕事に関係のないネットサーフィンやSNSへの書き込みなどに熱中していると、職務専念義務に違反することになり、懲罰の対象になるかもしれません。これはプライバシーとは別の問題ですから、いくら本人が仕事に影響が出ないと思っても、会社のパソコンの私的利用はできるだけ控えるべきだと思います。



【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇470回テーマ
 「新社会人月間① 会社でパソコンを使う時」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士