文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/464回テーマ 「相続月間③ 音信不通の相続人」編

2018年02月20日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

2月は相続に頭を悩ませる方が一番多くなるということで、今月は「相続強化月間」です。3回目の今日は、「音信不通の相続人」というテーマでお話ししてきました。

長らく音信不通で、どこでどうしているかわからない…そんな家族をお持ちの方も、たくさんいらっしゃると思います。「遺産分割協議」は、相続人全員でやらないと無効になるので、こういう場合、相続の時に非常に困ることになります。

一般の方は、どうやって相続人を探すか途方に暮れてしまうかも知れませんが、弁護士にご相談いただければ、戸籍を辿るなどして、その方の居場所を探し、遺産分割協議に応じるよう呼びかけることができます。
すんなり応じてくれれば、問題なく終わることもありますが、上手くいかないと「調停」や「審判」を行なう必要が出てきます。

例えば、父親が亡くなった後、30年間も行方不明だった母親が現れ、「自分の相続分、2分の1を寄越せ」と申し立ててきたケースがありました。長女は土地と建物を相続するつもりでしたが、最終的に売却せざるを得なくなりました。
この場合、「代償分割」という、長女が土地・建物を取得する代わりに、母親に2分の1に当たるお金を渡す方法をとれれば良かったのですが、長女はそのお金を用意できませんでした。
結局、裁判所から「家を競売し、代金を法律で定められた持分に従って分割しろ」という審判が出てしまい、競売よりは高く売れる「任意売却」をして、その代金を分けました。

理不尽に思われるでしょうが、法律に従うとこうなります。ただ、相続前に「両親は離婚していないから、何かあれば母親にも渡さなければならない」と分かっていたら心構えも変わっていたかもしれません。こうしたケースに思い当たる方は、とにかく早めに弁護士にご相談いただきたいと思います。

その他に注意したい点は、戸籍を揃える作業、相続人調査は手間がかかる作業だということです。
相続には、亡くなられた方の出生から死亡まで、途切れなく繋がったすべての戸籍と、相続人全員の現在の戸籍が必要です。戸籍には、出生日や父母の名前などの基本的なデータのほかに、「どこの戸籍からいつ入って来たか」が書いてあるので、それを頼りにその前、その前…と辿ることができる仕組みです。郵送でも取り寄せられますが、戸籍が届いたらその内容を見て、遡って次の戸籍を取っていくわけで、結構時間がかかります。

戸籍には慣れているはずの弁護士でも面倒な作業です。役所に申請するわけですが、その申請書類には「戸籍謄本」「除籍謄本」そして「改製原戸籍謄本」という欄があります。「除籍」は戸籍に載っている人が結婚や死亡で全員いなくなるか、ほかの市町村に移った場合のもの。「改製原戸籍」は、明治以後、戸籍の作り方が5回変わっていて、その変更される前の物です。これを順次、繰り返し取っていくことになります。

このように相続の手続きには、一般の方には大変な作業が少なくありません。相続人の中に音信不通の人がいる場合など、相続に関するお悩みは、ぜひお早目にご相談いただきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇464回テーマ
 「相続月間③ 音信不通の相続人」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士