文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/454回テーマ 「相続 生前贈与と相続」編

2017年12月05日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日の『くにまるジャパン極』では、「生前贈与と相続」をテーマにお話しをしてきました。「生前贈与」は、節税対策の一つでもありますが、お金を相続まで貯め込まずに若い世代に渡して、お金の流通を活性化する、という点で、国を挙げて取り組んでいます。ただ「生前贈与」は、亡くなられた後、遺産相続に影響が出る可能性があります。

亡くなった人の生前に、贈与を受けていた相続人は、その分が相続財産とみなされることがあります。たとえば、お父さんが亡くなって、子ども3人が相続人で遺産が3000万円。生前、長男はマイホーム資金で、次男はお店の開業資金として、それぞれ300万ずつもらっていたとしたら、子ども3人の取り分はどうなるでしょうか?

本来であれば、3000万÷3で、一人1000万ということになるところですが、三男が生前に1円ももらっていなかったことを考えると、ちょっと不公平な気がしますね。この場合、長男と次男が生前に受け取った600万を遺産に含め、3600万として計算します。これを3で割ると1人1200万。残っている現金3000万から、まず三男の1200万を引いて、残りの1800万を長男と次男で900万ずつ。2人は既に300万ずつもらってますから、足して1200万で平等、ということになります。

ただし、亡くなった方から譲り受けたもので遺産に含めるものは、法律では「婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた場合」に限るとなっているので、ポケットマネーのお小遣い程度では問題にはなりません。また、贈与した事を示す書面や、お金の動きがわかる預金通帳などがあれば証拠になりますが、誰も見ていないところで、こっそり贈与の口約束をして財産を渡した…といった場合は、立証が出来ず、公平に遺産を分けるのも限界があります。親族間でのやり取りは、こういったケースが圧倒的に多いです。

それからもう1つ気をつけないといけないのが、「遺留分」の対象になるということです。たとえば亡くなったお父さんが、生前、内縁の妻に3000万円を贈って、遺産がまったくなかった場合。正式な妻と、子が2人いたとすれば、その3人が相続人で遺留分として法定相続分の半分の1500万円までは請求できます。ただこれは、亡くなる1年前までに行なった生前贈与が対象。それ以前のものについては「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したこと」という制限があります。何も意図せずに贈与を受けた人が、後になって財産を失うことを無制限に認めてしまうと、贈与に対する信頼が失われてしまいます。

生前贈与は、今のことだけではなく、将来のこと、また、もらった人だけでなく、もらわなかった人のことも考えに入れて行なう必要があります。生前贈与を考えていらっしゃる方は、まず、専門家にご相談いただくのがコツだと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇454回テーマ
 「相続 生前贈与と相続」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士