文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/453回テーマ 「相続 高齢者の相続」編

2017年11月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日の『くにまるジャパン極』では、「高齢者の相続」をテーマにお話しをしてきました。高齢者社会と言われて久しく、90歳、100歳まで生きるのが珍しくない時代です。それに伴って、相続についても、いろいろな問題が出てきています。

年を取れば取るほど、認知症の傾向が出やすくなり、一人暮らしが難しくなって、介護の必要度が高まります。こうした場合、たとえば同居している子供がいて、ずっと介護に当たっているケースも多いですが、これは相続の取り分を増やす理由になり得ます。これを法律的には寄与分といいます。

ただ、注意しなければならないのは、その同居の子供が、親御さんの財産を維持したり増やしたりすることに、「特別に貢献した」という関係が必要になることです。そもそも同居の親族には互いに養ったり助け合ったりする義務、いわゆる「扶養義務」があり、介護が理由の寄与分の場合は、「当然求められる負担」とされてしまいがちです。そもそも前提として、要介護2以上と認定されていないと、介護の必要性は認められないと言われています。

特別の貢献が認められるには、少なくとも年単位の介護が行なわれ、それに対してお金が支払われていないこと、また介護にほぼ専念していたことが求められるのが普通です。家族が介護したことで、ヘルパーさんや看護師さんなどに料金を払わずに済み、親御さんの財産が減るのを防いだ、という理屈で、「特別に貢献した」ことになるわけです。ただ裁判所の判断を見ても、なかなか認められるのは難しいし、認められたとしても金額は低いことが多いです。

寄与分以外にも問題はあります。親が90、100歳となると、子供も70、80歳になってしまいます。すると、お子さんの方が、先に亡くなってしまう、という事態も考えられ、実際、そうした例もしばしば見かけるようになりました。

その場合は、本来相続するはずだった人の子供、つまり孫に当たる人がいれば、代わりに相続人になることができます。これを「代襲相続」といいます。

たとえば、子供が二人いるAさんの家庭を例に考えてみましょう。Aさんが100歳の時に、上の子が70歳で亡くなったとします。この場合、Aさんが亡くなった後に、上の子のお子さん二人が、親(Aさんの上の子)の取り分を山分けします。ご存命の下の子の取り分は、そのままになります。

高齢化が進むにつれ、親戚付き合いも疎遠になりがちです。そんな状況で、相続が起きて、急に遺産分割の当事者として甥や姪が出てくることで、感情的な対立が起きてしまうことも珍しくありません。寄与分や代襲相続は難しい側面が多いので、ぜひ早いうちに弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇453回テーマ
 「相続 高齢者の相続」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士