文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/452回テーマ 「公序良俗ってなんだ?」編

2017年11月21日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

本日の『くにまるジャパン極』では,「公序良俗違反」をテーマに,少しクイズ形式でお話しをしてきました。もし良かったら,皆さんも一緒に考えてみてください。
ちなみに,「公序良俗」とはもともと法律用語で,民法に「公の秩序,善良なる風俗」という表現があります。これが略されて「公序良俗」となり,一般的になった言葉になりました。

「公序良俗違反」でよく挙げられるケースとしては,たとえば,賭け麻雀の支払なんかがあります。賭け麻雀は賭博罪に該当する犯罪行為ですので,賭け麻雀の負け分の支払い約束は無効です。
しかし,もし,その場にいた人が負け分の支払いを用立てて,次の日,「昨日の3万円返してよ」と言った場合はどうでしょうか?

実は,これも支払ってもらうことは出来ません。賭け麻雀という違法行為のためのお金と知った上で,お金を貸し付ける行為も,公序良俗に反して無効となってしまうからです。

では,次の事例。
ある会社の社長が月30万の手当で愛人を囲っていた。ところが経営悪化で,10か月も支払いがストップしたというような場合。
愛人契約は公序良俗違反ですので,愛人は,社長に対して,「300万払って」と言えません。
では,社長が「契約を解消しよう」と愛人に手切れ金を支払う場合,どうでしょう?

これは,有効となります。愛人契約の解消は,あるべき姿に戻すことなので,そのためのお金は,有効ということになっています。

では最後の事例です。
戦前,東北地方で飢饉が起きたとき,娘さんが身売りされる悲しい出来事がたくさん起きました。
これは公序良俗に反するでしょうか?

本当にお金で売ったら人身売買で公序良俗に反しますが,実際は,売るわけではなく,親に金を貸し付ける形を取ります。当時の裁判所は,娘を強制的に働かすのは公序良俗違反だからイヤだったら逃げてもいいが,借金は返すのが当然なので,娘が逃げたら,金を借りた親が返せということになっていました。
ひどい話ですが,昭和30年に最高裁が「少女を借金返済のため働かせるのも,親への貸付も,これは切り離して考えることができないですから,両方とも公序良俗違反」という判決を出し,ようやく借金は返さなくてもいい,ということになりました。
さすがに今はそういう話はないですが,「外国人技能実習制度」というものがあり,これを使って来日する人は,母国のブローカーに,大変な額の借金を負わされていることが多いんです。しかも日本では低賃金の重労働をせざるを得ない。制度上他の会社に移るのが難しいため,現代の人身売買とも言われ,日弁連でも制度を廃止すべきという意見書を出しています。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇452回テーマ
 「公序良俗ってなんだ?」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士