文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/451回テーマ 「相続 遺言書を見つけたら?」編

2017年11月14日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日の『くにまるジャパン極』では,「遺言書」をテーマにお話しをしてきました。ご家族が亡くなられて,悲しみの中にも,遺品の整理をしていたら,遺言書が出てきた…というような場合,すぐ開封して中身を確認するべきだと思うかもしれません。
しかし,すぐ開けてみるのはやめてください。まず,封がしてあるかどうか,チェックしましょう。もし,封がしてあったら,勝手に開けてはいけません。
もちろん,相続人の方は見る資格がありますが,すぐに開けてしまうと,「これは偽造したものではなく,内容を書き換えてもいない」ということが,のちのち,証明できなくなってしまいます。

たとえば何人か相続人がいて,その一人が,封を開けた遺言書を,残りの相続人に見せた場合,都合よく内容を書き換えたのではないか,と疑われてしまう可能性があるわけです。そうしたトラブルを避けるため,勝手に開けてはいけないわけです。なお,勝手に遺言書を開封すると5万円の過料を科せられます。

遺言書を開封する時には,家庭裁判所で「遺言書の検認」という作業が必要になります。裁判所で「遺言書の検認」を受けるためには,まず,相続に関する書類を集める必要があります。そして検認申立書を作成して,これと一緒に,遺言者の最後の住所を管轄する家庭裁判所に提出します。
必要な書類は,遺言者の出生から亡くなるまでの戸籍謄本,法定相続人全員の  戸籍謄本などです。遺言者の親族関係が複雑だったり,相続人の誰かがすでに亡くなっていると,これは結構な手間がかかります。また検認申立書も自分で書く必要があり,大抵の方にとっては少し骨の折れる作業になるかと思われます。

書類を出すと,裁判所から相続人全員に,遺言書を検認する日取り,検認日についての案内が郵送されます。受け取った相続人は,当日出頭するか,欠席する場合にはその理由を書いた回答書を送ります。検認日は早くて2週間,長いときには一か月以上先になることもあります。

検認日当日は,裁判官と書記官が立ち会って開封し,遺言書がどこにあったかなど質問があります。手続きの参加者には,遺言書の筆跡や,ハンコについての質問も行われますが,手続きには弁護士が立ち会うこともできるので,気軽にご相談ください。この検認が済んだ後,やっとこの遺言書の内容を執行することができるようになります。不動産や預貯金の名義変更などの手続きが必要ですが,この辺りも弁護士が関わると,法的なアドバイスが受けられますし,スムーズに進められると思います。

検認手続が面倒だと思われた方は,検認手続不要の「公正証書遺言」が一番です。公証人が作成に関わり,原本が公証役場に保管してあるので,偽造などの恐れがないからです。亡くなった後,遺族に少しでも迷惑をかけたくない,とお考えなら「公正証書遺言」の作成をお考えになるのがよろしいのではないか,と思います。
また,検認は偽造防止が目的で,内容が,遺言者の意思に基づいて有効か,無効かは,別の問題です。検認後もトラブルが出てくる可能性があるので,また別の機会にお話しできればと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇451回テーマ
 「相続 遺言書を見つけたら?」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士