文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/447回テーマ 「相続 特別受益」編

2017年10月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日の『くにまるジャパン極』では,よく相続問題で揉めてしまうケースで,「特別受益」をテーマにお話をしてきました。

相続人の間で,「不公平」を感じることがあった場合に揉めるケースが多いです。兄や姉はいろいろと親から援助を受けていたのに,弟や妹はそれほどでもなかった,とか,その逆とか。兄弟の一番上は,自分が一番多く受け取って当たり前,と,思っていらっしゃる方が多いです。
今の法律では,兄弟が親から相続する割合は平等です。ただ,遺産相続に関して,兄弟の間で不平等が生じていること,実際にけっこうあるんです。

例えば,親が亡くなった後で,親の住んでいた家の相続をどうしようかと考えていたのに,家の名義は長男の名義に変わっていて,親の遺産は預貯金だけというケースがあります。
家は長男がもらって,残りの預貯金を兄弟で分割…となると,かなり不公平です。こんな場合は,その家も遺産に含めてそれぞれの取り分を計算することができます。家ではなく,多額の現金をもらっていた,という場合も同じです。

親が亡くなる前にもらっていた家とかお金とかのことを,法律的には「特別受益」と呼びます。そしてこの特別受益を遺産に含めて計算することを「特別受益の持ち戻し」と言います。ただ注意が必要なのは,親から財産をもらっていたからと言って,そのすべてが「特別受益」とはならないということです。
特別受益というのは「生計の資本としての贈与」だと法律には書いてあります。「生計の資本」とは「独立して生活するのに役立つ財産」のことです。「お小遣い」とか,「海外旅行の費用」は,「独立して生活するのに役立つ財産」ではないので,「特別受益」には当たりません。
それから亡くなった方の意思で,生前に贈与した特別受益を,遺産分割の時に計算に入れないこともできます。これを,「特別受益の持ち戻し免除」と呼んでいます。

ただ,そういう気持ちを持っていたとしても,きちんと遺言書に書いていたりする方は少ないので,多くのケースでは,客観的な事実から,亡くなった方の意思を推測することが必要になってきます。たとえば夫が長年連れ添った妻に自宅を贈与した場合など,遺言がなくても,相続のとき妻を優遇したいという気持ちが推測できます。そうすると自宅を特別受益として持ち戻して計算しなくてもいいので,妻に自宅を残しやすくなります。

いずれにしても,それぞれのケースによって法律的な判断は変わってきますので,相続で問題が起きそうなときは,お気軽に弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇447回テーマ
 「相続 特別受益」
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士