文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/435回テーマ 「民法改正 具体的には…」編

2017年07月25日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日の『くにまるジャパン 極』では,先々週の放送に引き続き,民法改正について,すこし具体的なお話しをしてきました。
まずは時効について。時効とは,ある一定の期間請求しないと権利が消えるというものですが,これまでは,権利によって時効になる期間が違っていました。「根拠があまり明確でない」ということが問題になっていたこともあり,今回の改正で,「権利を行使できることを知った時から5年で時効」という条文が追加され,ほとんどの場合5年に統一されました。

具体例として,よく例に出るのは「飲み屋さんのツケ」などです。短期消滅時効といって,これまでは1年で時効でしたが,今回の改正で5年に伸びることになりました。
ただ,一方,労働者にとっては残業代の未払い分が,これまで通り2年で時効になるという不利益も生まれました。以前,民法の賃金の時効は飲み屋さんのツケと同様,1年でしたが,特別法の労働基準法で2年に延長されたんです。でも今回,労働基準法は改正されなかったため,民法より特別法が優先され,2年のままになってしまっています。
※厚生労働省のHPには,7/12に開催された「労働政策審議会労働条件分科会」で賃金債権の消滅時効についても見直しを検討する旨発表がなされています。

次に敷金について。賃貸アパートなどの敷金が原則返還されることになりました。これまでは規定が一切なかったので,トラブルも多かったんです。ただ裁判での解決基準はある程度明確になっていましたので,東京都では独自に,宅地建物取引業者に,原状回復に関するルールの説明を義務付けていました。今回の改正はこれに合わせる形です。
もちろん,敷金から未払いの賃料や,原状回復に必要なお金は差し引かれます。ただ原状回復に関して言うと,「経年変化」や「生活で普通に使っていれば生じる損耗」は,原状回復義務として認められない,とはっきり決められました。テレビや冷蔵庫の後ろにできてしまう「電気焼け」や,ベッドを置いた部分の凹みなどはセーフ,ということです。

最後に,個人保証の制限についてです。今回の改正で,個人保証が制限されることになりました。友達や親戚などから,事業資金の保証人になってくれと頼まれて,断れずに判を押し,結果的に事業が失敗,天文学的な借金を背負わされて保証人も自己破産…というケースがよくあります。こうした事態を防ぐために,一定の制限がかかるようになります。
具体的には,個人が保証人となる場合,その保証契約の一か月前に,保証の意志が確認できる公正証書がないと,その契約が無効になる,という決まりができました。公正証書を作る際には,公証役場に行って,公証人が,保証人になろうとする人の意思を確認して作成します。つまり,よくよく考えずにハンコを押す,といった,ありがちなトラブルを回避する狙いがあります。ただ,例外もありますので,詳しくは弁護士などにご確認いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇435回テーマ
 「民法改正 具体的には…」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士