文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/434回テーマ 「交通事故 命の値段」編

2017年07月18日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

本日の『くにまるジャパン 極』では,交通事故に関するお話をしてきました。
よく,人の命はお金で買えないと言いますが,交通事故で尊い人命が失われることになった場合,金銭のやり取りによって,解決せざるを得ない…という側面が存在するのも事実です。

たとえば,40歳の男性,年収500万の方が亡くなられた場合を考えて見ましょう。残されたのは専業主婦の奥様です。目安となる金額は,慰謝料が2800万円。逸失利益が4393万円。葬儀代が150万円。そして奥様の慰謝料が200万円で,合計でおよそ7500万円が支払われます。

最初の2800万円の慰謝料というのは,亡くなられた方が,自分の命を奪われたことによる悔しさを金額で表したものです。これは,奥さんや子どもさんを養っている方の場合で,今の裁判の基準では,最高の金額となっています。
一方,独身者は,2000万円程に抑えられることもあります。もちろん,家族や生活の状況などにより,金額は上下します。
奥様の慰謝料が200万というのは,安すぎるとおっしゃる方もいらっしゃるのですが,そういう方には,ご主人の慰謝料額が奥様の存在で2800万円という最高額になっていますので,それでご理解ください,とお話ししています。

一番金額の多い「逸失利益」ですが,これは,ご存命であれば生きている間に稼げたはずの将来の収入を意味します。算出する際は,67歳まで働くという前提で計算することになっています。67歳というのが中途半端と感じる方もいらっしゃると思います。今回ご紹介している賠償金額の基準は,過去の判例を集めて昭和44年ごろに出来上がってきたもので,当時の日本男性の平均寿命が67・74歳だったため,この年齢までなら,皆さん亡くなるまで働けるだろうということで,67歳までの稼ぎを賠償させようということになりました。
それから50年近く経過して平均寿命も延びていますが,死ぬまで働けるという訳でもないということで,そのままになっているようです。

逸失利益を計算する場合の収入は,基本的には事故前の収入を基礎として計算します。ベースアップなどは反映されません。ただ,もともとの金額が全労働者の平均収入より低くて,将来,平均程度に上がる確率が高ければ,平均収入で計算することができます。
また,かつて私が扱った医療事故でこんなことがありました。上場企業の社員が,医療事故で亡くなられたのですが,労働組合から労使交渉の資料を借りてみたんです。そこには,将来のモデル賃金が示してあって,50歳では1千万円まで上昇するとなっていたんですね。裁判では,その増収分も含めて計算すべきと主張して,認められました。結局1億円を超える賠償額になって,ご遺族の暮らしを助けることができたと思っています。

大切なご家族が突然の事故で亡くなられた場合,気も動転するでしょうし,相手の言いなりの金額を受け入れてしまうこともあるかもしれません。でもその前に,専門家に相談する冷静さを持てれば,後々の暮らしが楽になる可能性もありますので,是非,専門家へご相談いただきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇434回テーマ
 「交通事故 命の値段」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士