文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/433回テーマ 「民法改正 導入」編

2017年07月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日のくにまるジャパン「極」では,民法改正についてお話ししてきました。
民法改正の背景には,作られた時代と社会が大きく変わってきたこと,もう一つ,条文の言葉の意味が抽象的な部分も多くこれまでは裁判官が必要に応じて,条文に含まれる言葉の意味を明らかにしてきたということがあります。そこで,現代に合った民法にしようということと,裁判所の判断を条文に分かりやすく書き込もうということで改正されることになりました。

新しい民法は6月2日に公布されましたが,法律は,ふつう,交付されてから適用されるまで一定の猶予期間が設けられます。今回も,公布された6月2日から,3年を越えない範囲内で施行されますが,まだ具体的な日付は決まっていません。

今回の民法改正は,債権に関する部分が多く「債権改正法」とも呼ばれています。債権とは,ある人が,他の人に特定の行為を請求する権利です。例えばお金を貸した人が借りた人に,返すよう請求できる権利,また交通事故の被害者が加害者に,損害賠償を請求できる権利,などが「債権」ということです。
改正のポイントは,いろいろありますが,重要なものの一つは,「民法で定めている利率」が変わったところです。

たとえば,お金を貸した人が借りた人に対して利子を決めていなかった場合,この利率が適用される,というものです。これまで民法では5%と定められていましたが,今回の改正で3%に引き下げ,さらに3年毎に見直す,という変動性が採用されることになりました。

お金を貸している方にはちょっと不利になってしまうかもしれませんが,一方で,交通事故の被害者に後遺症が残ってしまったような場合は,被害者にとって有利になります。
後遺症が残ると,被害者の労働能力は下がります。そのマイナス分を補填するための賠償を「逸失利益」と言って,事故前と同じ程度働けるようになるまでの期間を仮定して,その分を受け取ることができます。ただ,この賠償金からは「中間利息」が引かれてしまうんです。
中間利息というのは,賠償金をうまく運用すれば,利息で儲けることができる,という考えを裁判所は採っているため,その利息分は,保険会社が払う賠償金から差し引かれてしまいます。今までは法定利率の5%が適用されていたわけです。それが今後は3%に下がる訳なので,中間利息が減り,被害者の方が受け取れる賠償金は増えることになります。今どき資金運用で5%利率なんて夢みたいな話ですから,被害者にとってはありがたい改正だと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇433回テーマ
 「民法改正 導入」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士