文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/409回テーマ 「預金を遺産分割の対象に?パート2」編

2017年01月24日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

去年の11月の『くにまるジャパン極』で,亡くなられた方の預金が,遺産分割の対象になるかもしれない,というお話をご紹介しました。今日はその続きのお話です。去年の12月19日,その件に関する最高裁判決が出ました。

これまで,亡くなられた方の預金は,相続人全員の同意がないと,自動的に,相続分に応じて分割される決まりでした。つまり,なくなった方の遺産を相続人の間で話し合って分ける,「遺産分割」の対象にはなっていなかったんです。
ただ,この扱いでは,場合によって,相続人の間で,どうしても不公平が出てきてしまうのが問題でした。

そういった問題を踏まえ,最高裁判所はこれまでの判断を見直す可能性が高いと言われていましたが,今回,予想通り,「預貯金は遺産分割の対象」という判断が下されました。

これで相続人全員の同意なしに,家庭裁判所の調停や審判で預貯金を遺産分割の対象に含めることが可能になりました。
お金には1円単位で明確に分けることができるという利点があります。遺産分割で,それぞれの取り分を調整するときに,これはとても便利です。今回の判決が出たことで,これまでより柔軟に,そして公平に,遺産を分けられるようになると思います。

しかし,デメリットもあります。預金に関しては,これまでは,亡くなられたと同時に,法定相続分に従って,相続人が預貯金を取得することになっていました。そこで,相続人全員の同意がなくても,法定相続分だけは,その相続人が払い戻しを受けられる金融機関もあったようです。
ですが,今回の判決で,預貯金が遺産分割の対象となりました。こうなると,遺産分割が終わるまでは,法定相続分の範囲内でも支払いには応じられない,という対応に変わる可能性があります。

遺産分割の話がまとまるには,どうしても時間が必要です。でも亡くなった方に借金があり,相続人が急いで支払わないといけない場合や,亡くなった方から生活費の援助を受けていた相続人に当面の費用を支払う必要があるといった場合でも,誰かが反対すると,お金は引き出せません。
これはけっこう深刻な問題です。
こういった場合のために,家庭裁判所で仮に遺産を分割する,「仮処分」という手続きを取る方法もある…と,判決の中で一部の裁判官が発言しています。それでも時間はかかりますから完全な解決策とは言えないと思います。

トラブル回避のためには,「遺言書」を作っておくことをお勧めします。
遺言書があれば,その内容に従って遺産を分けることになります。何もない場合より断然スムーズです。もちろん「遺留分」という制度もありますから,常にその通りに行くとは限りません。トラブルを100%防止するのは不可能でも,遺言書は有効な手段です。まずは専門家にご相談いただいて,極力,問題が起きないような遺言書を作っておくことが,ベストかもしれません。ぜひ一度,専門家である弁護士に,お気軽にご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇409回テーマ
 「預金を遺産分割の対象に?パート2」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士