文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/403回テーマ 「未成年者の飲酒」編

2016年12月06日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

いよいよ12月,忘年会シーズンの幕開けですね。
今週の『くにまるジャパン 極』では,やってはいけない「未成年者の飲酒」をテーマにお話してきました。

20歳未満の飲酒を禁じているのは,その名も,「未成年者飲酒禁止法」という法律です。ただし,未成年者がお酒を飲んだとしても,刑罰に問われることはありません。

「未成年者飲酒禁止法」では,未成年者本人ではなく,両親など親権者や,親権者に代わって未成年者を監督する人が未成年者の飲酒を知っていたのに止めなかったという場合や,また飲酒を勧めたりした場合の刑罰が定められています。その場合,「科料」といって,千円以上一万円未満のお金を強制的に徴収される刑罰が科されます。

金額的に考えると,さほど重い刑罰ではないように思われますが,科料は「刑罰」,つまり前科がつくということになります。軽く考えてはいけません。

この「親権者に代わって監督する人」の意味合いですが,一般的に考えられるのは,たとえば両親から世話を頼まれて下宿させている親戚・知人といった存在だと思います。

よく,大学の先輩が後輩の未成年者に酒を飲ませる,といった話がありますが,単なる先輩・後輩関係では「監督する者」とはいえないと考えられます。両親同様に飲酒を止めるなど,日常生活を監督すべき人じゃないと当てはまりません。
もちろん,無理やり飲ませて急性アルコール中毒で救急車で搬送される,といったケースでは別の問題が生じるとは思いますが,「未成年者飲酒禁止法」では処罰されないということです。

その他に,未成年者にお酒を売った場合,お店や従業員も罪に問われます。
酒屋さん,スーパー,コンビニなど,お酒を扱う店では,年齢確認が義務付けられています。また未成年者がお酒を飲むことが分かっている場合は売ってはいけません。
もし売ってしまったら,対応した従業員とお店の両方が,50万円以下の罰金刑に問われることになります。

最近,選挙権が18歳まで引き下げられましたが,その際に,選挙権と同じく,飲酒や喫煙も18歳に引き下げる,という話もあったようですが,いろんな方面から反対され,見送りということになったようです。
未成年者がお酒を飲むと,成長期の脳の神経細胞に影響が大きく,成長障害や性腺機能障害などの危険が高まるといわれますし,肝臓やすい臓などの臓器障害にも陥りやすいといわれています。
さらに,早い時期からの飲酒は,アルコール依存症になりやすいという統計もあります。そのあたりが選挙権と違うところですね。

タバコについても同様で,未成年者喫煙禁止法という法律で,お酒とほぼ同じような規制がされています。やはり成長期の体に悪影響を及ぼすということでしょう。体の事も大事ですが,未成年者の飲酒喫煙は,その保護者や周囲が罪を背負うことになります。楽しいお酒の席であっても,くれぐれも注意が必要です。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇403回テーマ
 「未成年者の飲酒」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士