文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/402回テーマ 「相続の寄与分」編

2016年11月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日は先週に引き続き,相続に関するお話をしてきました。相続する兄弟姉妹の中で,親の介護や事業の手伝いをしてきた方は,してこなかった方と比べて,遺産の取り分を多くもらいたいと考えますよね。

法律には,「寄与分」という制度があります。寄与とは,人のために役立つ,貢献するという意味があり,この場合の寄与とは,親の財産を増やす,あるいは維持することに貢献した,という意味になります。「寄与分」が認められた場合,法律で決められた分よりも,相続で取得できる財産が増えることになります。

たとえば,認知症の親につきっきりの介護が必要で,一人の子どもだけが面倒みていた場合,これは子ども本人だけではなく,その妻が夫の両親の世話をしていたという場合でも,寄与分が認められる可能性があります。
一人でずっと親の介護してきた子どもが,ほかの兄弟と同じ取り分だったら,やっぱりちょっと納得できないですよね。
また,自営業で,やはり子どものうち一人だけが少ない給料で,ずっと親と一緒に働いてきたという場合も寄与分が認められる可能性があります。
いずれの場合も,親の金をできるだけ使わないことに貢献してきた,と考えられるわけです。

もう少し具体的なケースで考えてみましょう。たとえば,兄弟3人で,長男だけが,お父さんの自営業を何十年も手伝って,その結果,お父さん名義の立派なビルが建ち,
そこで事業を続けている…と考えてください。
お父さんが亡くなった後,寄与分が認められないとなると,弟や妹たちに遺産の3分の2を渡さなければいけないので,何十年もかけて建てたビルも売らざるを得なくなるのです。それは何とか避けたいですよね。

また,寄与分の金額は,子どもの寄与によって,親の財産がどれくらい増えたか,あるいは減るのを防いだか…という,「財産上の効果」によって,変わってきます。
そこはあくまでも金銭ベースの話ということになるので,要するに,どんなに頑張って介護をしていたとしても,精神的な支えだけで,財産上の効果がない場合には,寄与分は認められないということになるのです。

そしてその寄与分を,ほかの相続人,兄弟たちがそのまま素直に認めてくれればいいのですが,認めてくれないときは,家庭裁判所に「調停」を申し立てることになります。
調停では,申立人が資料を集めたりする必要がありますが,最終的には,家庭裁判所の専門の調査官が,本人から聞き取り調査などをして,裁判所が具体的な寄与分の金額を決めることになります。

相続人間での話合いがまとまらず,調停等,裁判所を通じて手続きするような場合は,どうしても法律的なアドバイザーが必要不可欠だと思います。そういった際は,専門家である弁護士へ是非ご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇402回テーマ
 「相続の寄与分」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士