文化放送『くにまるジャパン 極』に小杉直樹弁護士が出演/397回テーマ 「セクハラとパワハラ」編

2016年10月25日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日の『くにまるジャパン 極』では,職場で起きるさまざまな問題についてお話をしてきました。中でも,「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」とハラのつく言葉をよく耳にしますが,この「ハラ」は「ハラスメント」の略で,「いやがらせ」や「いじめ」といった意味を持っています。
当然,ほとんどの方は「いけないこと」だと分かっていますが,気が付かないうちにやってしまっている方は意外といます。

たとえば,部下を食事にしつこく誘ったり,体に触ったりするのは,基本的にセクハラだとわかりますが,お互いに憎からず思っている,好意を抱いているという場合でも,
同僚はイヤですよね。つまり,本人たちはOKでも,周囲が不快に感じていたら,これは「セクハラ」ということになります。
人前でいちゃつくのは,極力,控えていただきたいですね。

周囲への配慮が必要という話では,結婚や出産の話題も微妙です。こうした話題を不快に感じる方は多いので,辺り構わず口にするのは,ちょっと考え物です。
こうした,周囲の人に不快感を与える行為は「環境型のセクハラ」と呼ばれます。

さて,もう一つ「パワハラ」についてですが,パワハラとは仕事上の力関係を利用して行う「嫌がらせ」や「いじめ」を指す言葉です。上司が部下に暴力を加えるのは当然「パワハラ」ですが,精神的に痛めつける行為も,パワハラということになります。上司は意識せず,叱咤激励のつもりでも,結果として部下に精神的苦痛を与え,うつ病など精神障害を発症させてしまうということが,けっこう頻繁に起きています。

指導なのか,ハラスメントなのか…そのあたりの線引きは,非常にデリケートで,上司にとっては,難しい時代になったかもしれません。
ただ要は,厳しく指導することが問題というよりも,業務上必要のない言葉を使ったり,何時間もの間しつこく叱り続けたりするのはダメということです。また仕事のミスにつけこんで容姿や人格など,仕事と関係ないことまで非難する発言は絶対にしてはいけないことです。

前に,厳しい指導がパワハラなのか,裁判で争われたことがあります。上司が「新入社員以下だ。もう任せられない」「何でわからない。お前はバカか」と部下を叱りつけました。そのため,部下はうつ病になってしまったのです。上司の発言は指導として許される限度を越えていたとされ,損害賠償が認められることになりました。
具体的に「お前」「馬鹿」「アホ」などは,業務上必要な言葉とは言えません。普段からこうした言葉を使っている人は,パワハラにつながりますので,注意してください。

ほかにも,特定の社員に大量の仕事を押し付ける,逆に,まったく仕事をさせない,これら両方ともパワハラです。また残業の申請を許さず,サービス残業を強いるのも,間違いなくパワハラに認定されます。

パワハラやセクハラ防止に取り組む会社は多いですし,業績よりも職場環境や社員の健康を優先する考え方も,少しずつ浸透してきているようです。
こうして誰もが安心して働ける社会を作っていきたいですね。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン 極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇397回テーマ
 「セクハラとパワハラ」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士