文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/393回テーマ 「金銭トラブル」編

2016年09月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日のくにまるジャパンでは,前回の「建物明渡」の強制執行に引き続き,今回は「金銭トラブル」における強制執行ついて,お話をしてきました。
たとえば,知り合いに半年の期限で100万円を貸したとします。でも先方は返してくれなかった。この場合,お金を返してもらうには,貸主は借主に金を返せ,と裁判を起こせます。もちろん借主の方にもいろいろ言い分はあり,それが裁判で認められることもありますが,ここでは貸主の主張が通り,お金を返すように,という判決が出た場合を考えます。
判決に従い,借主がその100万を支払ってくれれば無事解決です。
ですが,判決が出ても,素直に返してくれないケースは,意外と多いのです。

本当に返せるだけのお金や資産がないのならお手上げです。ない所からお金をとることはできないからです。また,判決で命じられた支払いをしないだけでは犯罪にはなりませんので,当然,警察も動いてはくれません。

問題は,お金がないと言っていながら,本当はお金や資産がある場合です。
実は家にタンス預金があったり,高価な貴金属を持っていたりというケースは,結構多くあります。
貸主からすれば,返せる財産があるなら,早く返してほしいですよね。
しかし,だからといって貸主が勝手にその家に入って,現金や貴金属を持ち出すことはできません。前回も少し触れましたが,「自力救済の禁止」というルールがあるからです。お金を払え,という権利はあっても,実力行使はできません。

そこで考えられるのが,「強制執行」という手続きです。
財産を差押えするなどして,回収を図ることになります。差押えできる資産には,現金のほか,貴金属などの動産,土地や建物など不動産,銀行などの預金,給料,株式などの債権のほか,いろいろな種類があります。
ただ,闇雲に何でも差押えてしまう訳にはいきません。たとえば,給料については,原則として,月額の4分の1しか差押えることが出来ないことになっています。

また,強制執行の手続きをとりたくても,相手の資産の詳しい状況など,普通はわからないと思います。
銀行預金を差押える場合であっても,「○○銀行の△△支店にある口座」という形で,支店まで特定しなければいけないルールです。「どこかの支店にあるはずなので,そっちで探して」というやり方はできないのです。なので,現状ではどうしても,資産を隠されると取り戻すのは難しいという側面があります。

ですが,弁護士が対応することで,どの支店に口座があって,残高はいくらか,を回答してくれる銀行もあります。これを「弁護士会照会」といいます。
その他にも,最近では,判決が出た後,裁判所が金融機関に情報提供を求める制度の検討が始まりました。
「強制執行をしやすくする法改正」として,この秋にも法制審議会に諮られ,再来年ごろの国会提出を目指す,と伝えられています。実現すれば,養育費が支払われない,といった場合などにも効果があるのではないかと期待できますね。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇393回テーマ
 「金銭トラブル」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士