文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/392回テーマ 「建物明渡請求」編

2016年09月20日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日のくにまるジャパンでは,「建物明渡請求」についてのお話をしてきました。

「建物明渡請求」という言葉は,聞きなれない方も多いかもしれませんが,結構身近な事柄で,例えば,なかなか家賃を入れない店子がいると,大家さんが,契約解除して部屋の明け渡しを求める,こういった請求を「建物明渡請求」といいます。どのくらい家賃を滞納すると,契約を解除できるのかというのは具体的な定めはありません。一般的には,少なくとも3か月分以上の滞納がなければ,家賃が支払われていないことを理由に,契約解除はできないと思いますが,裁判所は,家賃の滞納があっても,貸主と借主の信頼が破壊されていないと認められる「特段の事情」があるときは,解除ができない,という考え方を採っているため,何か月だったら信頼関係が破壊されたと認められるかは,ケース・バイ・ケースということになります。
わかりやすく言うと,例えば,契約書に「一回でも滞納した場合は契約を解除できる」との条項があったとしても,たった一回家賃を滞納した,という理由だけでは,信頼関係が破壊されているとは言えず,契約を解除することはできない,ということです。

そうはいっても,家賃が支払われないと,大家さんとしては死活問題です。
力ずくで,無理やり借主を追い出したい方もいると思います。これを法律的には「自力救済」と言いますが,残念ながら日本では認められていません。粘り強い交渉が必要です。
話し合いで早期解決ができればいいのですが,借主の対応次第で「建物明渡訴訟」を起こして,判決を貰い,強制執行…というステップを踏む必要が出てきます。
強制執行は,申立,執行官による催告,明渡の断行…という流れで進んでいくことになります。
執行官による催告,というのは,執行官,立会人,執行補助者,それから解錠技術者,つまり鍵屋さんですが,こういった人々が実際にその物件まで出向き,執行官が,借主に対し,一か月程度の期限を定め,それまでに明け渡すよう催促するというものです。
借主が留守の場合は,解錠技術者が鍵を開けて中にはいり,たとえば1か月後の,平成●年●月●日,午前●時に強制執行すると書いた紙を,目立つ所に貼ります。
実際に執行官が現場まで行くわけですから,プレッシャーを感じた借主が,自発的に退去する場合も多いです。

ただ,それでも立ち退かないツワモノも中にはいます。そういう場合,最終的には明渡の断行となります。明渡というのは,建物についての借主の占有を排除するということですから,借主の家財道具を運び出し,その後,鍵を交換し,はいれないようにして終了となります。
明渡の断行の際,運び出された家財道具は,借主がその場で引き取らないと,通常,執行官が一か月ほど保管し,引き取るよう催促します。その間に引き取られなかった場合,執行官が売却できるんですが,運び出しや保管の倉庫料などは貸主がとりあえず負担することになってしまいます。こういった強制執行にかかる費用は,借主に請求できる決まりなのですが,実際には回収は難しいので,結局貸主が負担することが多いです。

貸主の負担ばかりが大きいですが,それでも物件を取り戻し,きれいにして,次の人に貸してという,収益物件を回転させるメリットを,貸主は選ぶわけです。こういった手続きは早ければ早いほどいいので,その際はぜひ弁護士にご相談ください。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇392回テーマ
 「建物明渡請求」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士