文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/390回テーマ 「成年年齢の引き下げと問題点」編

2016年09月06日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今回は,成人式といえばハタチ,というこれまでの常識が,どうやら変わりそう,というお話です。
政府は成年の年齢を18歳に引き下げる法案を国会に提出し,2021年には施行予定である,と発表しました。

民法を制定した当時,外国では21歳が成年という例が多かったのですが,日本人の寿命が短かったことや,地方では20歳を成年とする例が多かったことから,明治29年に制定されて以来,成年は20歳,とされています。
引き下げを検討している要因は,やはり18歳選挙権の実現が大きかったようです。選挙権と成年を一致させたほうが,社会的にも経済的にも,大人として自立するためにいいのではないか,という判断です。
ただ,引き下げることで,様々な問題も生じます。私が一番,指摘しておきたいのは「親の同意がなくても一人で契約をすることができる」ということです。
つまり,悪質な業者のターゲットにされることを恐れています。

国民生活センターの分析によると,契約当事者が20歳を超えると,急に相談件数が増えることがわかりました。特に悪質な業者は20歳の誕生日の翌日を狙って,取引を誘いかけるようです。
未成年の場合は,親など親権者の同意なく行なった契約は,取り消すことができ,それが抑止力になっているわけです。
20歳と18歳,わずか2年の差のように思えるかもしれませんが,成年の年齢が18歳に引き下げられると,それだけ被害に遭う危険性が高くなるのです。
また,たとえば,大学への進学のため地方から上京して,部屋を借りるといったケースでも,親ではなく本人が,自分の意思で契約することが可能になるわけです。
つまり賃貸トラブルが発生する可能性がありますし,その他,様々な法律的問題が若者たちを待ち構えています。

現在20歳の方にも呼びかけたいのですが,もし,変な契約をさせられたと思ったら,早めに消費生活センター,あるいは弁護士などに相談することをお勧めします。
一人で契約できる,ということは,ご自身で弁護士に相談することも,事件を依頼することもできます。もちろん,当事務所でもご相談は受付しておりますので,もしかしたらまずいかも,と思ったら,弁護士に相談する手がある,と覚えておいてください。
できれば親に心配をかけたくない,とお考えであれば,連絡手段を工夫するなどして,できるかぎり配慮もいたしますし,どんなトラブルでも,解決のために手助けをするのが弁護士です。
困ったときは迷わず,ご連絡いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇390回テーマ
 「成年年齢の引き下げと問題点」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士