文化放送『くにまるジャパン』に小杉直樹弁護士が出演/388回テーマ 「離婚 母子家庭の養育費」編

2016年08月23日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日のくにまるジャパンでは,離婚後の母子家庭における養育費の現状についてのお話をしてきました。
勢いで結婚相手と離婚をし,その後の生活に困ってしまう母子家庭の女性が,年々増加傾向にあります。

去年,おととしと,22万組以上のカップルが離婚していて,うち6割近くには未成年の子どもがいます。母親が引き取るケースが多いのですが,母子家庭の場合,貧困率がとても高くなっているというデータがあるのです。

貧困率というのは,社会全体の中にどれくらい低所得者がいるかということを表す数字です。母子家庭だけに絞ってみると,なんと半分以上が貧困状態にあることがわかっています。残念なことに,その原因は「元夫が養育費を払ってくれない」というケースが多いようです。

厚生労働省によれば,母子家庭のうち40%が,養育費の取り決めをしています。ところが,実際に受け取っているのは,そのうちのおよそ半分,20%に過ぎなません。中には,子供に会わせてくれないことを理由に,養育費の支払わないと主張する人もいるようですが,養育費は親としての義務ですから,子供に会わないことを理由に支払いを拒否できるものではありません。
経済的に厳しいという方もいらっしゃるとは思いますが,自分の暮らしを犠牲にしてでも,支払わなければならないのが「養育費」です。少なくとも手取りが10万円以上あれば,養育費が0,ということにはならないと思います。
家庭裁判所には「養育費算定表」という表があり,これはホームページでも見ることができます。相手が払いたくないと言っても,家裁に申し立てれば,少なくともその算定表の金額程度は,支払いが認められるはずです。

今のところ,養育費を払わないからといって処罰されることはありません。
相手が自主的に払ってくれないのであれば,自分で相手の財産を探し出して,差押という手続をしなくてはいけません。
養育費に限らず,裁判所の手続は,お金を請求する側が,積極的に動いていかなければならない仕組みになっています。自力で相手の財産を探せといわれても,途方に暮れてしまう方がほとんどではないかと思います。ただ銀行預金などは,裁判所を通じて金融機関に照会を行い,預金があるかどうか,調べてくれる制度が検討されているようです。スタートすれば,差押の手続きがしやすくなるだろうと期待しています。
また,差押をしやすくするだけではなく,養育費を決めておかないと離婚は認めない,という制度があってもいいんではないかと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇388回テーマ
 「離婚 母子家庭の養育費」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士