文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/386回テーマ 「不動産登記」編

2016年08月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

そろそろお盆休みの時期。故郷に帰って親族の皆さんと久々に対面するという方も多いかと思います。そこで,本日のくにまるジャパンでは,相続問題にまつわるテーマで不動産の登記についてお話ししてきました。

日本では不動産,土地と建物は,表示及び権利に関する事柄を,登記することになっています。「表示」と言うのは,不動産の所在地や面積のこと。また「権利」は,どこの誰が持ち主で,それは誰から移ってきたものか,といったことですね。これらの情報は法務局に登録され,誰でも確認できます。

では,もし,誰か不動産の持ち主が亡くなった場合を考えてみます。たとえば,夫婦と子ども二人の家族で,夫名義の土地があるとします。この状況で夫が亡くなれば,土地は遺産となって,一般的には相続の対象になります。そこで遺された妻と子どもが話し合い,土地は妻が相続することになったとすると,法務局で,「相続登記」の申請手続きをする必要があります。
ところが往々にして,手続が面倒なので,ほったらかし,ということになりがちです。すると登記上は,いつまでも,亡くなられた夫が所有者のままです。もし相続した妻が,  その土地を売ったり,担保にしてお金を借りようと思ったら,いろいろ面倒なことが起きてきます。
さらに,登記をしないうちに,妻も亡くなってしまうと,ますます厄介なことになります。この場合,登記をしていない相続にさかのぼって,順々に手続していかなければなりません。また相続人が増えて行くと,手間も比例して増えて行きます。

東日本大震災のあと,相続登記がされていない不動産が多く,誰が所有者か分からないで復興事業がなかなか進まない,という問題が起きていました。
事情が事情ですから,仕方ない側面もあるとは思いますが,相続が起きたら,速やかに登記するようにしておけば,復興もスムーズに進んでいたわけです。
全国的に空き家が増加している問題にしても,相続登記がきちんとされていないことが原因の一つだと言われています。

こういった問題をうけて,国も相続登記の手間を省く制度の導入を考えているようです。これは「法定相続証明制度」というもので,報道によれば,相続人の一人が,相続人全員分の本籍,住所,生年月日などを記入した「相続関係図」という図面を作り,戸籍などを揃えて法務局に提出すると,無料で公的な証明書が発行されます。この証明書は登記手続きのほか,銀行や証券会社でも利用可能で,相続の様々な手続きがスムーズに進むことが期待されています。
もちろん,登記の手続き以前に,相続人の間で遺産をどう分けるのか,しっかり話し合い「遺産分割協議書」を用意することが必要です。お盆休みに,そうした面倒臭い話し合いの取っ掛かりだけでも作っておくのはいいかもしれません。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇386回テーマ
 「不動産登記」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士