文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/384回テーマ 「弁護士と司法書士の違い」編

2016年07月26日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

本日のくにまるジャパンでは,先月の最高裁判決の紹介も含めて,改めて,弁護士と司法書士の取り扱える金額の違いについてお話ししてきました。

司法書士の場合,簡易裁判所の代理権しかありませんので,取り扱える金額は,140万円以下の案件が上限とされています。
ただ,この140万という数字の解釈を巡って,さまざまな見解の相違があり,先月の裁判では,この見解の違いについて,初めて最高裁で判断されたということで注目されました。

3つのポイントに分けてご説明したいと思います。

1つ目のポイントは,複数の業者から借金をしている場合,140万円を個別の業者ごとで考えるか,合計金額で考えるかという問題です。
これに関しては,個別の業者ごとに140万円以下であれば,司法書士は受けられる,ということで明確に示されました。というのも,通常,和解交渉は一社ずつ行うため,合計金額を基準とした場合,業者からすれば,ほかに借金がどのくらいあるのかわからないと,司法書士が受けられる事件なのかどうか,判断できなくなってしまうからです。

2つ目のポイントは,借金の額が300万円,払いすぎていた利息が100万円あり,債務整理をした結果,借金が200万になった。この場合,減った金額は100万円で140万円以下のため,司法書士が担当してもいいのではないか,という問題です。
いくら減らせるかというのは,実際に事件を受けて交渉してみない限り,はっきりしません。そこで,この件については,事件を受けたときの金額を基準に,140万円のラインを判断するとなりました。つまり,この事件は司法書士では扱えないということです。

3つ目のポイントは140万円の解釈とは別の話です。今回訴訟になったケースでは,司法書士は法律的な代理人という形ではなく,あくまで業者の和解提案を本人に伝え,また本人の意見を業者に伝える「窓口」の形であり,和解書を取り交わす時も,代理人としてではなく「和解立会人」という肩書で署名していました。つまり,代理人ではないから140万枠は関係ない,という訳です。ただ,最高裁判所は「司法書士が双方の意見を媒介したに過ぎず,合意書があくまで業者と借主の合意の形をとっていた,としても,各借金額ないし各過払い金の元本が140万を超えていれば,司法書士法3条違反となる」要するに「代理」という形でなかったとしても,司法書士は,間に入って事件処理をしてはいけないという判断しています。

司法書士が過払金請求を受任して,調査の結果,過払金が140万を越えるような場合は,その後の請求手続を,弁護士に切り替えなくてはならず,手間がかかります。借入期間が10年を超えるような場合は,過払い金が140万を超えることも珍しくありません。
借入が長期間に渡っていた方の場合,金額に関係なく,最初から最後まで手続を行なえる弁護士にご依頼いただく方が,手間が省ける可能性が高いと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇384回テーマ
 「弁護士と司法書士の違い」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士