文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/380回テーマ 「後部座席のシートベルト」編

2016年06月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

最近,タクシーに乗っていても,後部座席の方にも「シートベルトをしてください」というアナウンスを聞くことが多くなりました。そこで,本日のくにまるジャパンでは,後部座席のシートベルトをしていなかった場合に,交通事故に遭われた時の損害賠償についてお話をしてきました。

平成20年の道路交通法の改正以来,後部座席でもシートベルト着用は義務となっています。
ただ,高速道路では行政処分の基礎点数1点がつくものの,一般道では,もし見つかっても注意されるだけなので,相変わらず,着用義務を怠る人が多いようです。

警視庁などが去年の10月に調査した統計によれば,一般道での後部座席シートベルト着用率はおよそ35%ですが,義務化されている以上は,法律を守っていただきたい。これは,自分自身のためでもありますから。

シートベルトをしていない状態で,交通事故に遭い,車の外から強い衝撃を受けたとすると,それによって自分の体が吹き飛ばされる可能性が高いです。そうすると,全身を強く打ったり,前に飛ばされて運転者を傷つけたり,場合によっては,車の外に放り出されることも少なくありません。
これは数値上でも明らかで,警視庁が発表した統計では,去年までの5年間で,シートベルトをせずに事故に遭った人の死亡率は2.23%。一方,シートベルトをしていた人は0.16%。実に14倍となっています。

安全面はもちろんですが,損害賠償にも影響が出てきます。
例えば,約2年前に神戸地裁であった裁判では,被害者がタクシーの後部座席にシートベルトを未着用で乗車中,左側から別の車に衝突され,右側ドアまで飛ばされ,右の肩にケガを負ったという事案で,タクシー側には落ち度はないものの,ベルトをしていれば防げたケガということで,シートベルトをしていなかったことが,「重大な原因」と判断され,賠償額が1割カットされました。

法律上,これは「過失相殺」の一種で,被害者に落ち度がある場合,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を決めることができる,というものです。
たとえば,本当なら100万円の賠償がもらえるところが,被害者にも3割の過失,つまり落ち度があった場合は,30万円減らされ,70万円になってしまいます。

先ほどのケガの話で言えば,もしシートベルトをしていたら,それほど大きな被害は受けなかったはずで,ベルト着用が義務である以上,これは被害者の落ち度。過失割合が10%ということですから,100万円の10%,10万円が減らされてしまうということです。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇380回テーマ
 「後部座席のシートベルト」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士