文化放送『くにまるジャパン』に小杉直樹弁護士が出演/378回テーマ 「裁判の費用」編

2016年06月14日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

弁護士の小杉です。

本日のくにまるジャパンでは,「裁判にかかるお金」というテーマでお話しをしてきました。

裁判にかかる費用には,2種類あります。「裁判所に支払うお金」,そして「弁護士に支払うお金」です。原則として,どちらも前払い。つまり,裁判を起こすには,ある程度のお金が必要です。

ただ,裁判を起こしたいけど,お金がないという場合もあります。誰にも等しく,裁判を受ける権利は保障されていますから,経済的に困っている方の場合,「裁判所に支払うお金」の方は,支払いを猶予する制度が設けられています。もちろん,訴訟の内容がどう見ても勝ち目がない場合などは,猶予は認められません。裁判所も,山ほど案件を抱えていますから,お金がかからないからといって,簡単に裁判を起こされてはたまらない,ということです。
猶予されたお金は,最終的に,裁判で負けた人が払うことになっていることになっていますので,裁判に負けた場合は,後から払わなければなりません。金額は,訴訟する金額によりますが,例えば,1千万円を請求する裁判であれば,裁判所に払うのは5万円。これは法律で決まっています。

次に,「弁護士に支払うお金」です。弁護士に依頼しなくても裁判を起こすことはできますし,その場合は必要ありませんが,やはり専門的な知識が必要ですから,弁護士に頼む方が多いと思います。

「弁護士に支払うお金」は,自由に決めていいので,弁護士によってそれぞれです。昔の基準では,1千万円を請求する事件の場合,最初にかかる「着手金」が1千万の5%で50万円,勝った場合の成功報酬が10%の100万円,合計150万くらいかかっていました。最近は弁護士の数も増えましたし,事件の中身によってはもっと安上がりなところもあると思います。
それでも,裁判所に支払う金額に比べれば,ずっと高いのは間違いありません。

ただ,裁判に負けたからといって,弁護士費用の負担までは求められません。もし,裁判に負けた場合は,相手の弁護士費用まで払わなくてはならないということになったら,裁判を起こせるのは大企業とか大金持ちぐらいに限られてしまいます。でもどんな人にも裁判を起こすべき場合があります。たとえば,理由もなく突然会社をクビにされた場合など,負けるのを恐れて,会社を訴えられないことになるとお金がない人は泣き寝入りするしかありません。それで,負けた場合でも相手の弁護士費用の負担は求められないことになっているわけです。

また,弁護士費用を援助する制度として,「民事法律扶助」という制度があります。利用対象となれば,弁護士費用を分割払いにできますし,生活保護を受けている方の場合は,無料になることもあります。

交通事故の裁判の場合,自動車保険に「弁護士費用特約」がついていたら,保険で支払ってもらうことも可能です。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇378回テーマ
 「裁判の費用」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士