文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演/377回テーマ 「物の慰謝料」編

2016年06月07日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

本日のくにまるジャパンでは,物に対する慰謝料についてお話ししてきました。
たとえば交通事故に遭い,長年乗り続けてきた愛車に傷をつけられてしまった。もしくは,散歩中に大切なペットを轢き殺されてしまったといった場合,この「物」がなくなったことによる慰謝料が認められるかということです。
ちなみに,法律上,ペットは「物」。一緒に暮らしていると,家族のように感じる方も多いと思いますが,法律では人間以外は,すべて「物」として扱われます。

原則から言うと,物に対する慰謝料は認められていません。これは,百万円のクルマが壊されたならば,百万円を弁償してもらえばそれで十分,損失は補填されたという考え方がされるからです。ご納得いただくのは難しいかもしれませんが,愛着のある車に二度と乗れなくなっても,お金にすれば30万ならそれを弁償してもらって終わり,というのが普通なんですね。

ただ,例外的に慰謝料を認めた裁判例もありますので,一部ご紹介しておきます。
例えば,自動車が家屋へ飛び込んだという事故の場合,人命が危険にさらされたり,家庭の平穏が侵害されているとして家の修理費用で済む話ではないとして,慰謝料が認められました。金額的には,20~30万程度でした。

他には,自動車が墓石を損壊したという事故の場合も慰謝料が認められました。これは,一般に墓地,墓石は,所有者にとって,身近で亡くなった方への強い敬愛追慕の思いが込められているもので,壊された場合,石そのものの価値以上に,先祖のお墓を壊されたと言う精神的苦痛が大きいと判断したためです。ただ,このケースでは,車が墓石を壊し,その下の骨壺まで露出してしまったという,かなりひどい状況でしたので,損壊の程度が軽い場合は,認められるかどうか,実際に争ってみないとわからないでしょう。

最後にペットが亡くなってしまった場合ですが,最近では,家族の一員となっているご家庭も多いですし,そういった場合,飼い主にとってかけがえのない存在となっています。そうした観点から,裁判所でも,ペットが亡くなってしまったり,あるいは,死亡に匹敵するような,重い後遺症が残ってしまった場合は,慰謝料が認められるようになっています。ただ,金額は,高くても50万前後,といったところではあります。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇377回テーマ
 「物の慰謝料」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 弁護士