文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/375回テーマ 「未成年と民法」編

2016年05月24日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

法改正により,7月の参院選から選挙権が18歳以上に引き下げられます。現在,民法や少年法では成年年齢は20歳とされていますが,これも選挙権年齢に合わせて引き下げるかどうか検討しましょうということになっています。

そこで,本日のくにまるジャパンでは,「未成年の契約」についてお話ししてきました。

民法では,未成年者が法定代理人,一般的には親権者である父母の同意を得ずに行った法律行為は取り消せると定めています。そして,父母が契約を取り消した場合,その契約は最初にさかのぼって無効にということになります。契約が取り消されると,その契約は無効ということですから,代金を支払っていた場合には店に代金の返還を求めることが出来ますし,逆に,店側からすれば,未成年者に品物の返還を求める事が出来ます。

ただし,未成年だからと言って,親の同意がなかった場合に,全ての契約が取り消しできるわけではありません。たとえば,「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産,あるいは,目的を定めないで処分を許した財産の範囲での取引」は取り消すことができないとなっています。典型的には,お小遣いやお年玉を使ったような場合です。

他にも取り消し出来ない場合はいくつかありますが,もう一つ,取り消し出来ないケースとして,未成年者が「詐術」を使って契約した場合というのがあります。つまり,相手を欺いて,自分はもう20歳以上であるとか,親の同意を得ていると相手に思わせて契約していた場合は,取り消しすることは出来なくなります。

最近よくある話で,親に内緒でスマホのゲームで課金してしまい,結果として巨額の請求が来た場合などのご相談がありますが,未成年者の詐術については,慎重に取り扱われるため,単純に未成年者が嘘の年齢を入力したことのみによって,詐術とは判断されないでしょう。(取り消し出来る)

ただし,取引金額の高低や,商品の性質,また,未成年者の年齢や,ゲームの画面構成などからみて,総合的に判断した結果,これは「人を欺く行為である(詐術)」とされてしまうと,取り消せない可能性も出てきます。そんな状況にならないように,事前にお子さんとよく話をして,取り決めをしておくなどの対策を取っておいた方がいいでしょう。


【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇375回テーマ
 「未成年と民法」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 弁護士