文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演/374回テーマ 「遺言いろいろ」編

2016年05月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の山田です。

本日のくにまるジャパンでは,遺言についてお話ししてきました。

最近では,万一に備える「エンディングノート」が流行していますが,エンディングノートは,医療や介護,葬儀,お墓などをどうしてほしいか,書き残しておくためのものです。
もちろん,遺産相続についても書いておくことはできますが,「こうしてほしい」という希望の表明にしかなりませんので,法律的な効果を発生させるために遺言は必要です。

御存じの方も多いと思いますが,遺言書をご自身で書かれる場合,内容は全部手書きで,署名,ハンコを押して,日付が必要です。ただ,自筆の場合は,「認知症が進んでいたのに,こんな字が書けるはずない」あるいは「筆跡が違う,偽造だ」といったトラブルが起きやすいというデメリットもあります。

※参考資料:自筆証書遺言,秘密証書遺言,公正証書遺言,の比較
http://sozoku.home-one.jp/img/sozoku/format/yuigonhikaku.pdf

そこでお勧めなのが「公正証書」で遺言を作ることです。国内の各地に「公証役場」というものがあって,ここで公証人が遺言を「公正証書」という公的書面にするサービスを行っています。公証人の多くは,元裁判官や検察官で,そういう人が公的に証明してくれますから,争いになることはほとんどありません。

また,何らかの理由で字が書けない方でも,内容を口で伝えられれば遺言を作れます。費用は相続財産の額によって変わりますが,一億円近くでも4万3千円ですから,リーズナブルだと思います。

また,遺言書があるかわからないというような場合でも,公正証書なら,遺言書は公証役場に保管されていますので,保管されているのが遠方の役場でも,公証役場同士ネットワークで,近所の公証役場に確認すればとどこの公証役場にあるかを確認することができます。これも公正証書のメリットの一つです。

遺言書の作成をお勧めしたい方としては,たとえば,息子はもう亡くなっていて,そのお嫁さんが世話をしてくれているという方です。この場合,お嫁さんは血縁関係がなく,法律上,相続人ではありませんが,遺言があることによって,お嫁さんに相続させることができます。それから,夫婦二人暮らしで子どもがいない場合。子供がいなければ,奥さんが全部相続出来そうですが,法律上は,遺言なしに旦那さんが亡くなると,亡くなった方の両親や兄弟にも相続権がありますので,奥さんは財産の3分の2,もしくは4分の3しか受け取れません。

あとは,預金者が亡くなると,口座は凍結され引き出せなくなるので,あらかじめ「相続税資金」を特定の銀行に預けておいて,その口座を,奥さんや子どもたちが相続する,という内容の遺言を書いておいたり,事業をしていて,長男に引き継がせたいといった場合も遺言書があった方がよいでしょう。

ただ,公正証書遺言を作るには,証人二人の立ち会いが必要です。遺言で財産を貰う側の人は証人になれない決まりなので,別の人に頼まなければなりませんが,親戚だったりすると,相続人に内容が知られてしまう可能性がゼロとは言えません。その場合,弁護士や司法書士,税理士などの専門家に,お金を払って証人になってもらうのも一つの方法です。


【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇374回テーマ
 「遺言いろいろ」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 弁護士