文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/370回テーマ 「残業代の請求」編

2016年04月19日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

新年度が始まって,そろそろ3週間。新入社員の方も,社会人生活に慣れ始めた頃かと思います。そこで今日のくにまるジャパンでは,そんなフレッシュな社会人の皆さんのために,「残業代の請求」というテーマでお話ししてきました。

最近「ブラック企業」の存在がクローズアップされています。ただ新社会人の場合,サービス残業や不当な労働を強いられても法律の知識が乏しく「こんなものか」と受け入れてしまいがちではないでしょうか。

会社は,原則として,法律で定められた時間(法定労働時間)より多く,従業員を働かせた場合,残業代を支払わねばなりません。基準は1日8時間,または週40時間となっています。
残業代には,1時間あたりの賃金に,25%の割増率が加算されますので,
例えば時給1,000円の人が,10時間残業した場合,
1,000円 × 10(時間) ×1.25= 12,500円の残業代が貰えるということになります。

この割増率については,通常25%で計算しますが,数年前に法改正があって,1ヶ月の残業時間の合計が60時間を超えた場合,その超えた時間については50%の割増率で計算しなければなりません。ただし,この50%での計算は,一定の中小企業には猶予されているので,適用されません。また,深夜労働や休日労働をした場合には,割増率が変わってきます。

また,残業代の計算に関して,会社によっては,残業は15分,あるいは30分単位しか認めず,これに満たない場合は切り捨てる,といった所もあるようですが,法律で決められている労働時間を越える労働は,厳密に言えば,たとえ1分でも残業代の支払いが必要です。

15分,30分以下の切捨ては法律に反します。端数もそのまま集計すべきです。
ただし,集計した残業時間の合計について,30分未満は切り捨てて,30分以上を1時間に切り上げることは「常に従業員に不利になるものではなく,事務を簡便にする目的としたものと認められる」とされていて,違法ではありません。

次に,労働時間と認められるかどうかという点についてです。たとえば昼休みの会社の電話当番を任された場合などですが,電話への対応を義務付けられている場合は「会社の指揮命令下に置かれている」ということで労働時間に含まれます。また朝礼や制服への着替え等,いわゆる「準備時間」についても,会社が義務付けたものであれば,特段の事情がない限り,労働時間ということになります。

実際に残業代の請求をする場合には,労働時間の立証が必要になります。
具体的には,資料を集めること,たとえばタイムカードや,入退館の記録,パソコンの記録,日報,本人のメモや手帳,同僚の証言などでも証拠になります。

よく用いられるのはタイムカードで,雇い主が「タイムカードには記録されているけど,その時間は働いてなかった」と反対に証明できない限り,これはかなり有力な証拠として取り扱われます。

残業代を請求する権利は,賃金の支払日,つまり給料日から2年間の間に請求しないと,時効で消滅してしまいます。これは新社会人だけでなく,長年働いている方も同じです。
ずっとサービス残業が普通に行なわれているといった職場では,時効で請求出来なくなる前に,早めにご相談ください。


【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇370回テーマ
 「残業代の請求」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 弁護士