文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/364回テーマ 「薬物犯罪と弁護」編

2016年03月08日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

さて,本日のくにまるジャパンでは,最近話題の薬物犯罪をテーマにお話ししてきました。

大多数の方は,ニュースなどで見る程度で縁のない話だとお考えかもしれませんが,警察庁のデータでは,刑法犯の数は減り続けていますが,薬物犯罪は増加傾向にあります。覚醒剤はほぼ横ばいですが,大麻取締法違反が2割増,医薬品医療機器法違反,いわゆる危険ドラッグ関連が6割増など,大幅に増えています。

薬物犯罪の弁護は,窃盗や痴漢などと違って,直接の被害者がいないため,他の犯罪とは方針も違います。
たとえば,最近何かと話題になることの多い覚醒剤では,ほとんどの場合,起訴されて裁判になりますので,他の事件のように不起訴を目指す弁護活動では無く,まず,裁判の中で,捕まった方の依存の程度,流通過程でのポジションなどを中心に,「覚醒剤との関わり方の浅さ」を強調していくことになります。ただ,どう考えてもこの人は薬物に首まで浸かっているな,というケースもあるので,そういう場合は,今後,どうやって更生させていくかがポイントになります。

具体的には,ご親族など,力になってくださる方を探して,「こんなちゃんとした人が指導監督します」とアピールしたり,また,最近マスコミにもよく登場する「ダルク」といった自助グループや,更生支援施設などの力を借りて,治療を受けさせることなども強調して弁護を行ないます。薬物依存からどうやって抜け出すか,道筋を具体的なビジョンで見せていくことが大切ですし,また,薬物の入手ルートや販売人を捜査機関に話すかどうかも重要だったりします。

末端の使用者から,ルートを辿って薬物の出所を突き止め,検挙につなげるやり方を「突き上げ捜査」といいますが,この捜査を行なう上で,逮捕された人の供述というのが,とても重要な情報になります。そのため,正直に話すということが,薬物をめぐる人間関係を絶ち,反省を示すことにつながっていく,というわけです。

また,覚醒罪の裁判では,前科がない場合,だいたい懲役1年6月,執行猶予3年程度の刑を言い渡されることが多いです。一度の過ちなら,社会の中で更生の機会を与えればいいということなのですが,2回目以降は,せっかく更生のチャンスがあったのに活かせなかった,ということで,実刑の可能性が高くなります。ただ,薬物の中でも覚醒剤は極めて再犯率が高くなっています。覚醒剤そのものの誘惑もありますし,また覚醒剤を巡る人間関係から簡単に抜け出せない,ということも原因のようです。

再犯防止のためには,薬物には近づかないことが一番ですが,家族などが監督を誓ったケースでは再犯率が低くなっていることもあり,周りの人がきちんと目を光らせていれば,依存から立ち直るのも十分可能です。人とのつながりが,更生への力になるんですね。


【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇364回テーマ
 「薬物犯罪と弁護」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 弁護士