文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/360回テーマ 「相続 妻の居住権」編
2016年02月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン
弁護士の小杉です。
本日の「くにまるジャパン」では,「相続」をテーマに,遺産相続の実情(不動産の相続問題について)を話してきました。
今回の事例は,「不動産以外にめぼしい財産がない場合,相続人である妻が家を出て行かなければならなくなるのか」というお話です。
他にも預貯金などめぼしい財産があれば,妻が自宅を相続して,他の相続人にはお金などを分ける,という手段を取ることができますが,遺産は自宅だけ,預貯金などほとんどないという場合,自宅を売って,売ったお金を分割することになります。そうすると,住みなれた自宅を手放さなければならないことになってしまいます。
もちろん,遺産分割協議がまとまるまでは,それまで通り変わらなく暮らしていくことができますし,子供がいる場合は,子供にもしわ寄せが来るのは目に見えていますから,実際にこうなるケースは稀だと思いますが,可能性としてゼロではありません。
また,子どもがいない場合,つまり,亡くなったご主人の兄弟や甥とか姪など,あまりお付き合いがない方が相続人になった場合は,そういった方たちがお金に困っていたりすると,「自宅を売却してでも,遺産を分けて欲しい」と言われることは十分あり得ます。
対策としては,「遺言書」を作っておくと有効です。たとえば,「全財産を妻に相続させる」と遺言に書いておけば,相続争いを防ぐことができます。
遺言書がないと,現状では,遺産分割の話し合いでなんとか解決できるよう,努力することしかできません。たとえば,自宅の所有権はほかの相続人に移るけれど,その代わり,妻が自宅を借りて住み続けられる契約をするなど,現実的なやり方を考えて交渉していくしかないでしょう。
国でも,配偶者に先立たれた後,残されたもう一方が,自宅に住む権利を保護することを考えているようで,既に法律の改正も検討されているようですが,成立までには,まだ時間がかかりそうです。遺された配偶者の生活を守るためにも,「遺言書」を書いておくことが有効です。
【出演情報】
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送(関東エリア)
◇番組名
『くにまるジャパン』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇360回テーマ
「相続 妻の居住権」編
◇出演
番組MC 野村邦丸さん
番組パーソナリティ 鈴木純子さん
法律事務所ホームワン 小杉直樹 弁護士