文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/359回テーマ 「刑事事件の前科」編

2016年02月02日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

マスクをしているので,「風邪ですか」と良く聞かれますが,花粉症がひどいので,早くもマスクが手放せません。

さて,今日の「くにまるジャパン」では,刑事事件にまつわる「前科」について話をしてきました。

最近ではネット社会になって,更生した人でも,検索すると昔の前科が出てきてしまう,という話を聞きます。
もちろん,罪を犯した事実そのものは,重く受け止めなくてはいけないことですが,罪を償われた方の社会復帰は大きな問題です。

一般的には,前科のある人というと,刑務所に入った人…というイメージが多いと思いますが,「前科」は法律上の用語ではありません。一般的には,「これまでに有罪の判決を言い渡された事実」のことを差します。

刑法9条の定めによれば,刑罰として重い方から,死刑,懲役,禁固,罰金,拘留,科料…などが定められています。つまり,有罪判決を受け,それが確定すれば,死刑は別としても,他は全て「前科」ということになります。

各市区町村には,「犯罪人名簿」というものがあって,一般的に「罰金以上の刑」の言い渡しを受けると,この「犯罪人名簿」に載せられることになっていますので,日常生活上特に問題はありませんが,公職選挙法違反の場合,選挙権は,一定期間行使できなくなります。もちろん,戸籍や住民票には載りません。

旅行に行きたければ,パスポートも取得できますし,特に制限はありませんが,渡航先の国によっては,前科がある方の場合,特別な手続きが必要になる場合があります。

たとえば,アメリカに行きたかったら,ビザが必要です。
就職面では,懲役や禁固になると,公務員や警備員,また弁護士といった仕事には法律上つけなくなりますし,宅地建物取引主任者などは,それより軽い罰金刑の言い渡しでもつけなくなります。また,履歴書に前科を記載する欄があって,正直に書かないと「経歴詐称」ということになります。このことを懲戒解雇の理由として認めた判例もありますから,注意が必要です。

「前科」は一生消えないのかと思う方もいらっしゃると思いますが,一定の条件を満たすと,先に述べた特定の職業に就けなくなるという前科の持つ法律的な効力がなくなることはあります。

ただし,警察庁,検察庁で保管されている前科に関する記録は,本人が死亡するまで消されることはありません。この前科があると言う記録は,後に別の罪を犯したような場合には不利な事情として作用してしまいます。

前科がつくということは大変なことですから,比較的軽い罪で,本人が十分反省しているなら「不起訴処分」を目指すのがベストです。警察・検察による捜査の対象となってしまった時点で,我々弁護士にご相談いただきたいと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇359回テーマ
 「刑事事件の前科」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士