文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演/346回 テーマ「自白のない刑事事件の裁判」編

2015年10月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

代表の中原です。

今日の『くにまるジャパン』では,「自白のない刑事事件の裁判」というテーマでお話してきました。

最近では,大阪で起きた中学生の殺人事件の被疑者が黙秘をしたまま起訴されました。
今後,殺人事件として裁判が進みますが,被告人の自白がなく,目撃者もおらず,現時点で直接的な証拠はないと思います。

こういう場合,検察は間接的な証拠,いわゆる「情況証拠」を積み上げて,犯人だと証明してくるはずです。
たとえば「犯行日時頃,現場にいたのは被告人だけ」,「凶器となったのと同じ粘着テープを買った事実がある」といった間接的な事実から,犯罪を行なったことを推認させていくわけです。
有名なところでは,再審請求中の和歌山カレー事件の被告人が検察側の情況証拠による立証で,有罪となっています。

「情況証拠だけで有罪,というのは冤罪につながるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,私は逆だと思います。
犯罪を立証しようとするあまり,自白を強要することが,冤罪のもとになっていると考えられます。自白に頼らず,犯罪を立証することが,捜査の本来のあり方です。

先週の金曜に,20年前の放火殺人事件の裁判のやり直しをするという決定が出され,きのう釈放されたことが,大きく報道されました。この事件では,有力な証拠は,捜査段階の自白だけだったようです。自白だけだと,そういうこともありうるわけです。

では,自白がない場合,「情況証拠をどのくらい積み上げれば有罪になるか」については,最高裁で判決で,「被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明できない事実関係が必要」というかなり厳しい判断基準が出ています。
今回の大阪の事件で,検察側が「被告人が犯人でないとしたら説明できない」程度まで証明できるか,見守りたいところです。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇346回テーマ
 「自白のない刑事事件の裁判」編
◇出演
 番組MC 野村邦丸さん
 番組パーソナリティ 鈴木純子さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士