文化放送『くにまるジャパン』に 中原俊明 代表弁護士が出演 196回 テーマ 「ストーカー規制法の盲点」編

2012年11月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン  中原俊明 代表弁護士

196回 テーマ 「ストーカー規制法の盲点」編(11月27日 午前9:45 ~) 

■放送内容要約(実際の放送内容とは若干異なります。)

邦丸
ストーカーの男が被害者の女性を殺害した後、自殺するというショッキングな事件がありました。このストーカーは、1000通以上のメールを送りつけていたのに、警察は動けなかった。あまりにひどい気がするんですが…。

中原
それは法律の規制の仕方と関係があるんです。
以前、このコーナーで「ストーカー行為等の規制等に関する法律」いわゆる「ストーカー規制法」について取り上げました。まず定められているのは、「特定の者に対する恋愛感情、その他の好意の感情、またそれがみたされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行為を行うと法律違反ということです。
また、法律では8つの行為が「つきまとい等」として規制の対象となっており、これが度重なると、「ストーカー行為」となってくるわけです。

邦丸
8つの行為とは、どんなものですか?

中原
「つきまとい、待ち伏せ、進路妨害」、「行動を監視していると告げる」、「面会・交際の要求」、「脅しや乱暴な行動」、「無言電話・連続したファクス」、「汚物・動物の死体など送付」、「名誉を傷つけることを告げる」、「性的羞恥心を感じさせる文書の送付」、この8つです。これらの行為を繰り返すと「ストーカー行為」となります。
いまお話したように、規制の対象として「無言電話・連続したファクス」はありますが「メール」は対象になっていません。ここがポイントです。

邦丸
だから取り締まれなかったということですか?

中原
そうです。この法律は12年前の平成12年にできました。当時、まだメールはそれほど普及していなかったので規制の対象にしなかったんですね。
もっとも、メールであっても、文面に「面会・交際の要求」や「脅しや乱暴な言動」があれば、今の法律でも規制の対象になり得ます。

邦丸
メールの内容が法律にひっかからないとダメなんですね。

中原
今回の事件の加害者も、去年「刺し殺す」というメールを送り脅迫罪に問われ、保護観察付の執行猶予判決を受けています。またストーカー規制法に基づく警告も出されています。
ただし、執行猶予判決を受けた後、大量に送りつけたのは「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」といった内容で規制法の対象外。摘発できずにいるうちに、今回の事態を招いてしまったわけです。

邦丸
まさに法律の盲点を突いたんですね。

中原
さすがに「大量のメール送信」を規制の対象に加える改正案が国会に提出される方針だというニュースがありました。このほか、フェイスブックなどのコメント欄への書き込み、ソーシャル・ネットワーキング・サービスも対象にするそうです。
法律は時代に合わせなければ意味がありません。衆議院の解散がありましたが、この改正はひきつづき、ぜひとも成立させたいですね。

邦丸 
SNSは便利だけれども、リアルタイムで行動を把握されてしまいますもんね。

中原
一方、今年8月までに現在のストーカー規制法に基づき、警察が加害者に警告した件数は1500件を超え、すでに過去の年間記録を更新しています。去年、長崎で起きたストーカー殺人以降、警察が積極的に対応したためと言われています。

邦丸
事件を減らすため、現行法に基づく警告は増えている。また一方では、法律を時代に合ったものに変えていく。両方を同時にスピーディーに進めていくことが、ストーカー犯罪においては大切だということですね。いずれにしても理不尽な犯罪であることには間違いありません。