文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 192回テーマ 「横領から身を守る!会社を守る!」編

2012年10月30日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン  中原俊明 代表弁護士

192回 テーマ 「横領から身を守る! 会社を守る」編(10月30日 午前9:45 ~) 

■放送内容要約(実際の放送内容とは若干異なります。)

邦丸
先週に引き続き「横領」をテーマにお送りします。他人から預かってるものを、勝手に自分のフトコロに入れてしまうのが「横領罪」ということでした。
たとえば会社の同僚が横領していることに気づいた場合、もし黙っていたら罪になるんでしょうか?

中原
これは民事上と刑事上、二つの問題になります。まずは民事で、会社への「義務違反」を問われるかどうか。これは、社内での役職、立場によって変わってきます。たとえば邦丸さんが社内の監査、総務といった役職にいれば、処分されたり損害賠償を請求されたりする可能性があります。

邦丸
では、刑事上の責任は?

中原
他人の犯罪行為を認識しつつ、法律上の義務に反して何もせず、簡単に犯行させてしまうと「不作為による幇助犯」に問われることがあります。ただ、これは経理部長が横領に気づいていたのに何も言わなかった…など、よほどの場合に限られます。

邦丸
横領した人に口止め料を渡されたら、どうなりますか?

中原
たとえば「文化カンパニー」という会社の経理部に、邦丸部長と、部下の純子さんがいると思ってください。ある日、部長が「小遣い」と純子部員に1万円渡しました。ところが、実はそれが横領したお金だったんですね。「受け取ったお前も同罪だからな」と、その後も渡し続ける。純子部員は、邦丸部長が怖くて断れない。こういうケースはどうなると思いますか?

邦丸
同罪になりませんか?

中原
この場合、最初の1万円は事情を知らなかったので、刑法上、何の罪にも問われません。
しかし、横領を知った後で受け取ったら、これは盗品や財産に対する罪に当たる行為。横領行為により得られたお金を無償でもらい受けたわけで、3年以下の懲役になる可能性があります。

邦丸
生々しい話で怖いですね。うちの会社は大丈夫かな、とご心配のリスナーさんもいらっしゃると思います。会社側がとれる「予防策」はありますか。

中原
小さな金額、安い備品でも気を配ることが大切です。たとえば、特定の社員がボールペンやノートを大量に持ち出す、特定の部署が通販サイトでドリンクやスナック菓子を大量注文、会社のお金で飲み食いする…といったケースがあり得ます。どんなに安いものでも、会社のものは会社のもの。ちゃんと区別させることが大事です。
それから、仮に「いつも誰よりも早く出社して最後に退社、そして休日出勤も毎日」という人がいたら、どう思いますか?

邦丸 
今どき珍しいモーレツ社員?

中原
もちろん本当に仕事熱心なだけなら何の問題もありませんが、緊急の仕事がないのにずっと会社を離れない場合は、もしかしたら「横領」の可能性もゼロではありません。
というのも、一般的に、横領の犯人は、会社のお金の動きを人に見せられないので、郵便物の開封や帳簿の点検など、お金に関することは何でも自分でやろうとする傾向があります。通帳や帳簿の操作、取引記録の改ざんなどを見られたくないわけです。つまり、横領している人は、休まないのではなく、休めないんです。
実際に、金融機関などでは「職場離脱」の制度を利用する場合があります。社員に、1週間以上の連続休暇を義務付けたり、研修で職場を離れさせ、その間におかしな動きをチェックしようというものです。

邦丸
面白い制度ですね。個人のモラルも、もちろん大事だけど、会社の仕組みを横領しにくい形に変えていくのも大事ですね。