文化放送『くにまるジャパン』に奈良洋協力税理士が出演 187回テーマ 「増税の嵐 消費税と企業」編

2012年09月25日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン  奈良 洋 協力税理士

187回 テーマ 「増税の嵐・消費税と企業」編(9月25日 午前9:45 ~) 

■放送内容要約(実際の放送内容とは若干異なります。)

邦丸
今週もユウウツな増税の話。先週は個人の住宅購入などについて伺いましたが、今週は企業にどんな影響が出るかを教えてください。

奈良
企業はお客様から消費税をいったん預かって、仕入れや経費などにかかった消費税を差し引いて税金を納めることになります。単純に考えて、毎年ほぼ業績が安定している会社の場合、消費税が倍になれば、納税額も倍になります。
たとえば売り上げが5000万円の会社で、仕入れなどで消費税がかかる費用が3000万とすると、これまではおよそ100万円の納税で済みましたが、増税になると200万円をとられてしまいます。

邦丸
それはキツいですね~。

奈良
ただ、いまご紹介したケースのように、単純に消費税増税分を売上価格に上乗せ、いわゆる「転嫁」ができればいいのですが、実際はそううまくいかないことが多いんです。たとえば飲食店で、税込み500円の定食に、増税分を上乗せできるかというと、そこは難しいですよね。

邦丸
消費者にしてみれば実質的な「値上げ」ですもんね。個人商店や中小企業の場合、こうした悩みをお持ちの方、本当にたくさんいらっしゃると思います。

奈良
先ほどの年商5000万円の例で言うと、単純に上乗せできない場合、5%から8%に上がると150万円、10%になると250万円が持ち出しになってしまいます。これは大打撃ですよね。
実際、どれくらいの企業が増税分を転嫁できないか、帝国データバンクの意識調査によれば、およそ1割の企業が「まったく転嫁できない」。そして消費税引き上げの業績への影響については、「悪影響が出る」と答えた企業がおよそ7割に達しています。

邦丸
皆さん、相当な危機感をお持ちのようですね。消費税の処理って、やはり大変なものなんでしょうか?

奈良
多くの企業や個人事業の税務支援の仕事をしてきましたが、預かった消費税を別に管理して、納税に備えている企業はほとんどないのが現状です。本来は消費税納税用に別にしておくべきお金を、必要経費や借り入れ返済に回してしまい、いざ納税となって資金不足に悩む企業も多いんです。日頃から資金繰り表をつくって、お金の管理を行い、消費税の納税予想を立てておくことが必要です。また、この機会に「外税」に表示を切り替えていくとか、レジのシステムを入れ替えるなど、増税を踏まえて、準備しておく必要がありますね。

邦丸
税金が増える上、余計な出費を強いられちゃうわけですか。でも今から対策を取っておくことは必要なんでしょうね。

奈良
ただ逆に建築や印刷など、駆け込み需要が期待できる業種なら、増税前のチャンスを逃さないことも大切です。また、近い将来、設備投資や不動産の売却予定があるなら、増税の前に、計画を立てて対応する必要もあります。このほか、消費税にまつわる契約の改定、また財務管理、その他税金全般の対策など、増税の前後でどう動けばいいのか、判断に悩む場面が多く出てくるでしょう。ぜひ専門家にご相談いただきたいと思います。