文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 185回テーマ 「意外と身近な犯罪・窃盗」編

2012年09月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

185回テーマ「意外と身近な犯罪・窃盗」編(9月11日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

鈴木
さて、前回予告したとおり、今週は「意外と身近な犯罪」シリーズのパート2、「窃盗」編です。

中原
前回の最後で、落し物を届けず自分のモノにしてしまうと、「占有離脱物横領罪」になるというお話をしましたが、場合によってはこれが「窃盗罪」になるケースもあります。

鈴木
「ネコババ」と「ドロボウ」だとずいぶん違う気がしますが?

中原
たしかに、拾ったものを懐に入れたことを、窃盗、ドロボウと言われるのはかなり厳しいな、と感じるかもしれません。実際、定められている刑罰も占有離脱物横領は最高で1年の懲役。これに対し、窃盗は10年ですから、ずいぶん違います。

鈴木
法律でそれぞれの罪はどう定められているんでしょう?

中原
遺失物の横領は「遺失物など、占有を離れた他人の物を横領」するときに成立します。
窃盗は「他人の財物を窃取=こっそり取った」ときに成立します。 前回も話しましたが、「占有」は物に対する事実上の支配です。落し物を自分のものにしてしまったとき、占有離脱物横領か窃盗かの分かれ目は、落とし主の「占有」がモノに及んでいるかどうかにかかっています。

鈴木
具体的に教えてください。

中原
まず占有離脱物横領になったケースです。大規模スーパーの6階のベンチに財布を置き忘れ、地下1階に移動。10分後に気づいて戻ったがもうなかった。これは「占有」が認められず、占有離脱物横領罪になりました。

鈴木
「落し物」扱いだったんですね。

中原
次に窃盗になったケース。バスの行列に並んで、近くの台にカメラを置いていた人が、5分後、20メートルほど前に進んでから気づいて元の場所に戻ったら、もうなくなっていた。これは窃盗です。もしバスに乗ってしまっていたら遺失物扱いだったでしょうが時間的、距離的にまだ近かったから「占有」が認められた。
このように、持ち主から離れた距離、時間により変わってくるんです。

鈴木
なるほど。窃盗といえば、思い浮かぶのが「万引き」です。出来心で万引きしたら、警備員に声をかけられたので、突き飛ばして逃げた。この場合、やはり罪は重くなりますか?

中原
その場合は「強盗罪」になる可能性があります。たとえ軽い気持ち、出来心の万引きであっても、警備員が取り返そうとするのを防ごうとしたり、あるいは逃げようとしたり、証拠を隠滅しようとしたりするのに暴行や脅迫が伴ってしまうと「強盗」として扱われます。これらは「事後強盗」と呼ばれます。

鈴木
強盗というと、暴行や脅迫をしてから盗むイメージですが、その逆もあるんですね!

中原
そうです。もし警備員を突き飛ばしたときに、相手がケガしてしまうと「強盗致傷罪」が成立します。単なる窃盗は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」、強盗罪は「5年以上の懲役」、強盗致傷罪は「無期または6年以上の懲役」。万が一、相手が死んでしまったら「強盗致死罪」となって、「死刑または無期懲役」。どんどん重くなります。

鈴木
私たちの日常生活の中には、思いもよらず、重大犯罪の加害者になってしまう可能性が隠されているんですね。二週に渡り、身近な犯罪について教わってきましたが、とても勉強になりました。