文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 184回テーマ 「意外と身近な犯罪・詐欺」編

2012年09月04日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

184回テーマ 「意外と身近な犯罪・詐欺」編
2012年9月4日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

184回テーマ 「意外と身近な犯罪・詐欺」編(9月4日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
このコーナーでは、次々に登場する振り込め詐欺の手口など、最近の「詐欺」についてお話してきましたが、今日はもっと身近な「詐欺」のお話です。
「給料入ったら返すから」と言って金を借りていって、絶対に返さない人がいるんですが、これは詐欺でしょうか?

中原
まず、「詐欺罪」は、人を騙してお金や物を取ることを言います。単にウソをついただけでは、法律的には詐欺ではなく、お金や物を騙し取らないと「詐欺罪」にはなりません。
いま、邦丸さんがおっしゃったケースでは、借りた側が「返済する意思も能力もないのに」「ちょっと貸してくれよ」と頼んだのかどうかが問題です。

邦丸
返済する能力がないというのはわかるんですが、借りる側はみんな「返す意思はある」と言うでしょう?

中原
それも客観的に判断します。例えば、所持金が数千円しかなくて、入金の目途もまったくない人が、数百万を借りたら、この場合は「最初から返す意思はない」と判断されるわけです。

邦丸
「財布を落として困ってます。電車賃貸してください」とニセの社員証や名刺を見せて小額のお金を騙し取る「寸借詐欺」も同じ?

中原
「返すつもりがあればニセの社員証など出すはずがない」したがって「最初から返す意思はないから、詐欺」となります。
それから、お釣りを余計にもらったことに気づいたのに、そのまま立ち去ってしまう。経験のある方、意外といると思いますが、実はこれも詐欺罪になる可能性があります。

邦丸
でも、レジのお兄さんやお姉さんが勝手に間違えたんですよね?
お釣りを受け取った側に騙す意思はないでしょう?

中原
実は、詐欺という行為には、「積極的に騙す行為をする」、「本来やるべきことをしないで、お金や物を手に入れる」、この両方が含まれます。お釣りが多いのに気づいたけど何も言わず財布にしまうのは、やるべきことをしないケースです。

邦丸
本当は「お釣りが多いですよ」と店員に言うべきなのに、それを言わず、お金を手に入れた、という詐欺なんですね。

中原
信義則上、言う義務があるとされているんです。
じゃあ、お釣りをもらった時点では気づかず、家に帰って家計簿をつけていて釣り銭が多かったことに気づいた。でもそのままもらってしまったら、罪になるでしょうか?

邦丸
これは、家計簿をつけるまでは、お釣りが多いことに気づいてすらいなかったケースですね。何か罪になるのかなぁ。

中原
このケースは「占有離脱物横領罪」が成立します。「占有」というのは、モノに対する事実上の支配のこと。家に持ち帰った余分なお釣りは、本来お店のものですが、お店の支配が及んでいるとは言えません。

邦丸
持ち帰って、お店の支配から外れたからといって、その人のものになるわけじゃないですよね。

中原
そこで「占有離脱物横領罪」。お店の占有から離れたお金を勝手に自分のものにした罪、になるわけです。落し物を拾って自分のものにしてしまうのと同じです。

邦丸
落し物も、「占有」を「離脱した物」…ということですね。 詐欺というと、大金をごっそり騙し取る感じがしますが、意外と身近な犯罪でもあるんですね。

中原
法律的な意味での「犯罪」は、意外と日常的に起きているかもしれません。来週は「窃盗」についてご紹介したいと思います。