文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 183回テーマ 「法律用語の基礎知識」編

2012年08月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

183回テーマ 「法律用語の基礎知識」編
2012年8月28日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

183回テーマ 「法律用語の基礎知識」編(8月28日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
8月も終わりが近づきました。これから秋に向けて夏バテ気味の脳味噌に喝を入れようというわけで、きょうは「知っておくとためになる法律用語」をご紹介していこうと思います。最初の言葉はなんでしょう?

中原
「善意の第三者」という言葉、耳にされたことはありますか。この場合「善意」といっても、道徳的な意味ではなく「ある事実を知らなかった第三者」を意味します。逆に、「ある事実」を知っていたら、「悪意」と言います。

邦丸
良い、悪いとはまったく意味が違うんですね。

中原
詐欺事件を例にしてご説明します。邦丸さんの家に先祖代々伝わる掛け軸があったとします。実はこれが横山大観の真筆で、とてつもなく高いけれど、邦丸さんは絵の価値に気付いていない。それに乗じて、ある画商が、「この絵は価値がありませんね~」とウソをついて、二束三文で買い叩いた。その後、画商の店に来た純子さんに高く売ってしまった。
で、邦丸さんがその事実を知りました。どうしますか。

邦丸
それは絵を取り戻したいですが…、純子さんは詐欺があったことを知らないんですよね。

中原
民法の規定によれば、邦丸さんは「騙されて絵を売ったので売買契約を取り消す」ことが可能です。ただ純子さんは詐欺とは無関係です。せっかく横山大観の掛け軸を手に入れたのに、返せと言われても困りますよね。つまり、この場合、純子さんが「善意の第三者」となって、邦丸さんは純子さんに絵の返還を求めることはできません。詐欺を働いた画商に、損害賠償を請求するしかないんです。

邦丸
なるほど…。次は「無効」と「取消」の違いですが、これはどうでしょう?

中原
無効は「はじめから無かった」。取消は「その時点までは有効なものを、はじめにさかのぼってなかったことにする」という違いがあります。

邦丸
さきほどの詐欺は「取消」だったから…、私が取り消せば、さかのぼって絵の売り買いはなかったことになるんですね。

中原
そうです。一方、無効は「公序良俗」、「公の秩序又は善良の風俗」に違反するような契約。これは無効です。たとえば、百万円の謝礼をするから脱税のやり方を教えてくれ、と言われた人がいろいろ手口を教えたとします。で、実際、脱税で何百万も浮かせたのに一円も払わないケース。これは「脱税」そのものが違法なので、最初から契約は無かった。だから、百万円を請求することはできない、というわけです。

邦丸
最後は「みなす」と「推定する」の違い。これは…?

中原
「みなす」は実際には違うものを同一視すること。民法に「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」という条文があります。本当は成人じゃないけど、同じことにしてしまおう、と。結婚して家を借りたり、子供に関する事柄を決めるのに、未成年だと不便なことに配慮しているわけです。

邦丸
なるほど。

中原
一方「推定する」は、そのように取り扱うが、反対の証拠を出せば覆すことも可能、という意味です。やはり民法に「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」とあります。もしも夫の子じゃない証拠があれば覆せるけど、なければ夫の子ということにしておく」という意味ですね。

邦丸
なるほど~。いろいろ面白い話があるものですね。居酒屋で自慢のタネにしたいと思います。