文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演 177回テーマ 「成年後見制度」編

2012年07月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

177回テーマ 「成年後見制度」編
2012年7月17日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹代表弁護士

177回テーマ 「成年後見制度」編(7月17日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
判断力が衰えた方々の財産を守るはずの「成年後見制度」で、財産の管理を行うはずの後見人が、あろうことかお金を使い込んでしまうケースがけっこうあるそうですね。

山田
主に認知症を患った高齢者の方など判断力の衰えた方を対象に、家庭裁判所が選んだ「成年後見人」が、本人に代わって財産の管理をするのが成年後見制度。
ところが、裁判所の調査では、去年4月から9月の半年で、明るみに出ただけで使い込み被害が130件、金額にしておよそ18億円にも上るということがわかりました。このうちほとんどは、親族が後見人になっていました。

邦丸
裁判所も親族だから任せても心配ないだろうということで親族の方を後見人にしたんでしょうけどね。

山田
遊ぶ金や生活費に充てるため2千万を勝手に引き出した、あるいは借金返済に充てたというケースがあったそうです。
当たり前のことですが、これは自分のお金じゃないんですね。ですから、お金の使い方は厳格でなければなりません。後見人に選ばれたら、毎年1年間の予算を立てて、年1回、収支報告書を裁判所に提出することが必要です。

邦丸
結構厳しいものなんですね。後見人になったら、自分の財布と、自分が世話をしている方の財布とをきちんと分けておかなければなりませんね。
でも、お世話するにも費用がかかりますよね。親御さんを病院に連れて行ったりとか、そうした費用は請求できるんですか。

山田
できますが、必要最小限の費用だけに限られます。
後見人の方が、親御さんを車で病院に連れて行くとしても、家を出たらすぐガソリンを満タンにして、家に帰りつくときにまた満タンにして、差額について領収書をもらい、使った分だけを預り金の中から使うことになります。
それから安易にタクシーを使うべきではありません、バス代や電車代を請求することになります。親族だと、ただでそうした仕事を引き受けていますから、つい甘えが出て、必要以上のお金を使ってしまうということもあると思います。
そこで最近では血縁関係のない第三者が、成年後見人に選ばれるケースが少しずつ増えてきています。最高裁も「適格性の審査を厳格化し、必要に応じ弁護士、司法書士など専門職を」選ぶ方針を打ち出しています。

邦丸
その方がいいケースも、多いような気がしますね。

山田
弁護士など専門家が使い込みをしたら、職を失いかねませんから、比較的安全であるとはいえますが、残念なことに、専門家による横領事件も起きています。
そこでより安全な、信託銀行などを使う仕組みもできました。信託銀行は、毎月決まった金額を、後見人の口座に送金します。後見人は、この口座から、ご本人の生活費用などの日常的な支出を行います。そして急な入院や手術など、まとまったお金が必要な場合は後見人が、家庭裁判所から指示書を出してもらって、信託銀行から必要なお金を受け取るんです。

邦丸
それなら安心ですね。

山田
ただ、こういった制度だと、いざというとき、誰が後見人につくか分からないので、不安ですよね。そこで、新しく、自分が元気なうちに、後見人を選んでおく制度ができました。これが「任意後見」と呼ばれる制度です。

邦丸
自分が選んだ人なら安心ですよね。

山田
ただ任意後見制度の利用はまだまだ少ないようですね。愉快な話ではないのでつい先延ばしにしがちですが、誰にとっても考えておくべき問題だと思います。