文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演 175回テーマ 「親子関係がこじれた時の相続」編

2012年07月03日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

175回テーマ 「親子関係がこじれた時の相続」編
2012年7月3日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹代表弁護士

175回テーマ 「親子関係がこじれた時の相続」編(7月3日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
今日は遺産相続についてのお話です。亡くなられた方の意見が尊重された上で、家族も納得して円満に相続が行われるのが一番ですが、そうはいかないケースもあるんでしょうね。

山田
残念ながら、そんなに珍しいことではありません。
親子の仲が修復不可能にまでこじれてしまって、「一銭もやるもんか!」と親御さんが怒って、相続の相手から外したいと相談されるケースもあります。
実は民法には相続人の「廃除」という手続きがあり、子どもが親を虐待した、あるいは重大な侮辱があった、また子どもが著しく非行があったといった場合には、家庭裁判所に対し、請求できることになっています。

邦丸
そんなことができるんですか?
確か以前、「遺留分」といって、実の子どもは、遺言書に名前が書いてなくても、遺産をもらえる権利があると伺いましたが…。

山田
本来はそうです。たとえば赤の他人に全財産を遺す…という遺言を書いて父親が亡くなっても、妻と息子は本来もらえるはずだった相続財産の2分の1を請求することができます。これが「遺留分」です。
でも、子どもがあまりにもヒドい場合は、この「排除」で、遺留分もなくしてしまえる可能性があるんです。手続きは、ご本人が生きている間でもできますし、遺言に書いておいても大丈夫です。家庭裁判所で排除が認められると、相続人にはなれません。

邦丸
しかしそれは、よっぽどのことがないと、認められないんじゃないですか?

山田
おっしゃるとおりで、よっぽどのことがないと認められないんです。
実例を見てみますと、「息子が借金を重ね、債権者がさんざん父親の自宅に押しかけ、最終的には2千万もの借金を肩代わりさせるなど、20年以上にわたり経済的、精神的に苦しめられてきた」というケースが「著しい非行」に当たり、廃除が認められています。
また、「介護が必要な母親を妻に任せたまま出奔した上、先に亡くなった父から相続した田畑を母や親族に内緒で売却、さらに妻と離婚後、母や子に所在を明かさず、扶養料もまったく払わなかった」ケースでも認められました。

邦丸
たしかにその二つはヒドすぎますね…。逆に認められなかったケースはありますか?

山田
両親と長男夫婦が同居していて、嫁姑の仲が非常に悪くて、二組の夫婦が互いに悪口や嫌がらせの応酬をするようになり、嫁が姑に対して暴力を振るうようになったというケースがあります。これについては、日常生活上で起こる感情的な対立であり、双方に責任があるとして、排除は認められませんでした。
ただ、排除までいかなくても、相続させたくない相手を、なんとか相続の対象から外す方法もなくはないんです。

邦丸
どんな手を使うんですか?

山田
たとえば、財産の一部を生前に贈与するから、代わりに遺留分を放棄してくれ…と話を持ちかける方法があります。ただこの場合、子どもが自らの意思で放棄する必要があります。また遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可もいります。
いずれにしても、こうした手段を取らないで済むよう、話し合いで解決できるのが一番だと思います。

邦丸
確かに、できれば親子で円満に解決して、さっき出た認められたケースのように、本当にどうしようもない、修復不可能…というときのため、参考にしておく、という程度がいいかもしれません。
あとはこじれたらプロに入ってもらうのがいいのでしょうね。