文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 170回テーマ 「窃盗罪入門」編

2012年05月29日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

170回テーマ 「窃盗罪入門」編
2012年5月29日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

170回テーマ 「窃盗罪入門」編(5月29日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
きょうのテーマは「窃盗罪」です。窃盗の「盗」は盗むという字、「窃」は、「ひそかに」という意味の漢字だそうです。ま、いわゆるドロボウのことですよね。

中原
他人の者を故意に断りなく持ち去ったり使ったりすると「窃盗罪」です。万引き、空き巣、車上狙い、ひったくり…といったものが、この中には含まれます。
法律上、窃盗罪の対象になるのは、「有体物」…つまり、固体、液体、気体ということになっています。人の家で勝手にガスを使えば「気体」を盗んだわけですし水道を勝手に使ったら「液体」を盗んだので窃盗罪です。では電気を勝手に使ったらどうなると思います?

邦丸
(受けて…)電気はモノじゃないけど…どうなんでしょう

中原
これは法律の世界でかなり昔から論じられてきましたが、結論からいえば、電気はモノではないけれど、刑法の上では「モノとみなす」ことになりました。即ち、電気の無断使用も「窃盗罪」となります。実際、先日、電気料金を滞納して電線を外された男が、勝手に電気を引き込んで逮捕された事件がありました。

邦丸
そこまでいかなくても、パソコンや携帯電話を、出先のコンセントにつないで充電する方も多いですよね。

中原
そういうケースでも、許可を得ないで使うと、窃盗罪に問われる可能性があります。

邦丸
気をつけなければいけませんね! じゃ、パソコンや携帯電話の中身、つまり「情報」を盗んだ場合は、どうなるんでしょう?これも「モノ」ではないですよね。

中原
おっしゃるとおり、情報を盗んでも窃盗罪にはなりません。でも現代社会で営業上の秘密や個人情報を盗む行為を野放しにするわけにはいきませんよね。どうやって取り締まっているかといえば、たとえば、会社のコンピュータのデータをフロッピーディスクにコピーして持ち出した行為を、「フロッピーディスクの横領」として横領罪を適用した例があります。

邦丸
情報そのものでなくて、フロッピーディスクという「モノ」を盗ったということですね。

中原
そうです。こうしたケースについては、7年前に、不正競争防止法が改正されて、営業秘密に関するデータの不正取得が罪に問われることになりました。

邦丸
どんな場合が罪に問われることになりますか?

中原
たとえば、以前、その会社で働いていた従業員が、不正な利益を得ようとしたり、会社に損害を与えようとしてデータを持ち出したり、コピーしたり、使ったり、あるいはネットで公開するといった行為が、「営業秘密侵害罪」ということになります。この罪は、窃盗罪とは違って、固体・液体・気体に限らず、電子データであっても適用されることになっています。

邦丸
個人情報の場合はどうなりますか?

中原
たとえば、クレジットカードの「スキミング」、カードに書き込まれている情報を抜き出して複製する犯罪は、「支払い用カード電磁的記録不正作出等」という罪が適用されることになっています。

邦丸
なるほど…人のモノを盗んだらドロボウ、窃盗罪…ということは何となく知っているつもりでしたが、法律の世界では、いろいろ頭を悩ませながら、言葉の使い方や、時代に合わせた新しいルールを作っていこうとしているわけですね。