文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 168回テーマ 「刑事事件:保釈って何?」編

2012年05月15日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

168回テーマ 「刑事事件:保釈って何?」編
2012年5月15日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

168回テーマ 「刑事事件:保釈って何?」編(5月15日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
きょうは刑事事件のお話ですが、テーマは「保釈」。有名人が逮捕されたときなど、巨額の保釈金を納付したことが話題になりますよね。

中原
以前にもお話しましたが、刑事事件の被告人として裁判にかけられている場合、判決が出るまでの間、裁判所に保釈金を納めて、身柄を解放してもらうのが「保釈」。保釈金は、被告人の逃亡を防ぎ、裁判所に出頭することを確保するために預ける、いわば担保にあたります。
刑事事件では、容疑者、正式には「被疑者」が逮捕され、勾留された後、起訴されると「被告人」となります。通常は、裁判で有罪か無罪かが決まるまで、留置場や拘置所などに入れられますが、ここで裁判所が逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断すれば、「保釈」が可能になるわけです。

邦丸
でも裁判の結果、有罪ということになると、ホリエモンのように塀の中に戻されちゃうわけですね。

中原
もちろん執行猶予のつかない禁錮以上の刑が宣告されれば改めて留置場か拘置所などに入ることになりますね。一方、逮捕・勾留されても不起訴や嫌疑不十分、起訴猶予や処分保留で起訴されず解放されると「釈放」。裁判で無罪か、刑務所で刑期が終わった場合も同じです。刑事事件では、判決が出るまでは無罪を推定される、いわゆる「推定無罪」の大原則があります。逮捕されてもすぐ身柄を釈放されるのが本来の姿です。裁判所が勾留を認めるためには、「住所不定」か「罪障隠滅の恐れを疑うに足る相当の理由」、もしくは「逃亡の恐れを疑うに足る相当な理由」が必要なんです。

邦丸
判決が出るまでは無罪を推定されるのが原則。だから「保釈」という制度もあるというわけですね。被告人のうち、どれくらいの人が保釈されるんですか?

中原
おととしのデータですが、勾留されたすべての被告人のうち、保釈されたのは18%。意外に少ないと思いませんか。一度警察に逮捕されてしまうと、どんなに軽い罪でも、犯行を否認すると釈放も保釈もされないのが現実です。これが、いわゆる「人質司法」と呼ばれるものです。最大23日間身柄を拘束され、家にも帰れず会社にも行けない。社会的信用の危機です。もっと保釈を認めてもいいと思います。

邦丸
「人質司法」…凄い言葉があるもんですね!保釈金の話に戻しますが、相場ってあるんですか?

中原
ホリエモンや大王製紙の元会長は3億円とか、凄い額ですよね。ただそれは例外的なケースで、もちろん事件によって違います。犯罪の性質や情状、被告人の資産などを考慮して算出されますが通常は200万円ぐらいが相場といえます。保釈金は、逃亡したりすると没収されます。ですから、「取り上げられたら嫌だな、困るな」という額に設定されます。大企業経営者が3億円もの保釈金になるのはそういう訳です。同じ罪でも、邦丸さんなら、もっと安い…かもしれません!?

邦丸
納めた保釈金って、戻ってくるんですか?

中原
基本的には裁判が終わった後で返してもらえます。保釈のとき、定められた条件を守っていたことが条件です。まずは「勝手にどこかへ逃げたりしない」のが重要ですが、他に「証拠隠滅を図らない」「指定されたところに住み続ける」「裁判所から呼び出されたら必ず出頭する」こういったことが条件となります。

手続きの上から言えば、起訴された段階で保釈請求はできます。初犯で、常習性がなく、執行猶予が認められるような事件なら認められることが多いですね。請求は早ければ早いほどいいので、万一の場合は、早めに弁護士にご相談されるとよろしいでしょう。