文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演 165回テーマ 「運転には十分気をつけよう」編

2012年04月24日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

165回テーマ 「運転には十分気をつけよう」編
2012年4月24日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹代表弁護士

165回テーマ 「運転には十分気をつけよう」編(4月24日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
ゴールデンウィークが近付いてまいりました。付き物なのが、道路の渋滞、そして交通事故。ニュースでは「業務上過失」とか「危険運転致死」といった言葉を耳にしますが、どこがどう違うのでしょうか。
今日は交通事故の「刑罰」についてお話を伺います。

山田
交通事故を起こして逮捕されたといったニュースで以前は「業務上過失致死罪、致傷罪」とか言われていましたが最近のニュースでは「自動車運転過失致死罪、致傷罪」って言われていますよね。
最近は「危険運転致死傷罪」という言葉も使われています。

邦丸
まず「業務上過失致死傷罪」ですが、「業務上」と言いますから、仕事上のミスで人を怪我させたりという場合のことを言うんですか?

山田
いえ、この場合の業務は「職業」の意味ではありません。この業務というのは法律上独特の用語で「社会生活上の地位に基づき、繰り返し行う行為」で、生命や身体に危険を生じさせる可能性のあることを言います。ですから趣味で、ハンティングをしている人がうっかり猪だと思って、人を撃って死なせてしまった場合も業務条過失致死罪が成立するんです。

邦丸
刑罰の程度はどれくらいになるんでしょう?

山田
「業務上過失致死」、つまり相手が亡くなってしまった場合は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金。
しかし十年ほど前、飲酒運転で子供が2人亡くなったり、歩道を歩いていた2人の大学生が無免許・無保険、さらに飲酒運転の車にはねられて亡くなるといった悪質なケースが相次ぎ、法律改正を求める署名活動が起きました。

邦丸
確かに、そうした事件の刑罰として懲役5年以下というのは軽すぎるように思えますね。

山田
窃盗でも最高10年の懲役ですから業務上過失致死だと、窃盗罪よりも罪が軽いんですね。
これはおかしい、と37万人分もの署名が集まって、「危険運転致死傷罪」ができました。危険な運転が原因で他人をケガさせた場合は15年以下の懲役。死なせてしまった場合は1年以上20年以下の懲役となります。酔っ払って正常な運転ができなかったことや、赤信号をわざと無視して交差点に突っ込んだり相手の車を後ろから煽ったり、急カーブに急スピードで突っ込んだり、免許もなく、運転するテクニックもないのに、運転したり、こうしたことの結果、事故を起こしたような場合に、この危険運転致死傷罪で罰せられることになります。

赤信号を無視して突っ込んだという場合であれば、割と簡単に判断できるんですが、「酔っ払って正常な運転ができた」かどうかというのは、結構立証が難しいんです。かなりのアルコールを飲んで運転していても自分は酒に強いから、運転も正常にできていたなんて言い訳も可能なんですそこで、自動車を運転して事故を起こした場合は「業務上過失」では軽すぎるからということで…自動車運転のときだけ、「自動車運転過失致死傷罪」ということで、重く罰することになったんです。
これは7年以下の懲役または禁錮、あるいは100万円以下の罰金と定められています。

邦丸
そういう歴史的事情があったわけですね。でも何も知らずに運転されているドライバーの方がほとんどでは…?

山田
いまお話したのは刑事上の責任問題ですが、実際には、さらに民事上の責任、損害賠償の問題もあります。ドライバーの皆さんは、ときどきこういうことを思い出して、安全運転を心がけ、楽しい連休を過ごして頂きたいですね。