文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明代表弁護士が出演 161回テーマ 「暴行&傷害にご用心!」編

2012年03月27日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

161回テーマ 「暴行&傷害にご用心!」編
2012年3月27日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明代表弁護士

161回テーマ 「暴行&傷害にご用心!」編(3月27日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
ちらほらと桜の便りも届く季節になってまいりました。お花見あり、また年度の変わり目で歓送迎会などもあり、お酒を飲む機会が増える今日この頃…。酔った勢いでのケンカなども、多いんだそうですね。

中原
警視庁のデータによれば、年始めに比べると、3月、4月は暴行・傷害事件が確かに増えています。暖かくなって外に出かけやすくなり、お酒を飲むチャンスも増えるということなのかもしれません。ところで邦丸さんは「暴行罪」と「傷害罪」の違い、ご存知ですか?

邦丸
うーん。よく聞くけど違いはなんでしょうか?

中原
わかりやすく言えば、人にケガさせたら「傷害罪」。
殴りかかったものの、相手にケガがなかったら「暴行罪」。
刑法の条文を見てみると、「傷害罪」については、「人の身体を傷害したものは十五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する」とあります。また「暴行罪」は「暴行を加えたものが人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役もしくは三〇万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」。と、定めてあります。

邦丸
漠然としてますね、どのくらいからが「暴行」なのか、具体的なラインってあるんでしょうか?

中原
一般的に「暴行」とは「人の身体に向けられた有形力の行使」。と定義されます。「有形力」は物理的な力のことで、典型的なのは殴る蹴る。ただこの言葉の範囲が示す範囲はかなり広いものがあります。

最近のニュースから例を挙げてみます。
ある大学の卒業式で、教授が准教授の胸ぐらをつかんで10m引っ張り、参列者の前で「学生に謝れ」と怒鳴った事件がありました。この場合「胸ぐらをつかんで引っ張る」行為が暴行です。また、国会議員が街頭演説したとき、ハンドマイクを使ってヤジを飛ばしていた女性に、近くにいた男性が「静かにしろ」と髪の毛を引っ張ったことがありました。これは「髪の毛を引っ張る」行為が暴行罪というわけです。

邦丸
殴る蹴るじゃなくても、暴行になるんですね!

中原
体に触れなくても「暴行罪」が成立したケースもあります。たとえば室内で日本刀を振り回すとか、通行人の数歩手前を狙って石を投げた…といった事件です。暴行がなくても「傷害罪」になることもあります。「傷害」とは,「人の生理的機能や健康状態を毀損すること」ですから,殴ってケガをさせた有形力の場合だけではなく,嫌がらせ電話をかけ続けて精神的に衰弱させたり、性病に感染させたりしたケースでも「傷害罪」が成立しています。

邦丸
こちらも、かなり幅が広いんですね。

中原
ことしの一月、大手製薬会社の研究員が、研究所内で開かれた同僚の結婚祝いパーティーで、劇物に指定されている「タリウム」をお茶に混ぜ、参加者に中毒症状が出るという事件がありました。この容疑者も、傷害の疑いで逮捕されています。

邦丸
毒物を飲ませて症状が出ても「傷害罪」、ということは、たとえばお花見で飲めない人に無理やり飲ませる、これも傷害罪になっちゃったりするんでしょうか。

中原
それで急性アルコール中毒で病院に担ぎ込まれたりしたら、「傷害罪」あるいは「過失傷害罪」になる可能性もあります。くれぐれも節度ある花見をお楽しみいただきたいですね。何かとあわただしく、心がそわそわする季節ですが、万が一トラブルに巻き込まれたら、できるだけ早く、弁護士など専門家にご相談いただければと思います。