文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演 158回テーマ 「震災から間もなく1年」編

2012年03月06日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

158回テーマ 「震災から間もなく1年」編
2012年3月6日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 安西真実さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士

158回テーマ 「震災から間もなく1年」編(3月6日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
震災から間もなく一年が過ぎようとしています。
被災された皆さんが生活を立て直していく中で、もっとも大きな問題が「住まい」に関するものです。中でもよく「二重ローン」の話を聞きますね。

山田
「二重ローン」は、住めなくなった家のローンを支払いつつ、さらに建て直した家のローンも抱えてしまうということです。一応、対策として、自己破産しないで被災した住宅のローンを免除してもらう「個人版私的整理」(私はワタクシ)という制度が作られましたが、これがあまり利用されませんでした。

理由は、条件が厳しすぎたこと。免除を受けるには、当面の生活資金として99万円だけ残して、残りの資産の大半を処分しなければならなかった。保険金を受け取っても99万円以上は手元に残せないんです。一応、義援金などは別扱いになっていますが…。

邦丸
血も涙もない話ですね…

山田
これは厳しすぎるだろうと批判が集中したので、条件は今後、緩和されることが決まっています。
99万円から、最大500万円に引き上げられました。これで、保険金を受け取った後も、制度を利用しやすくなったといえるでしょう。
それと、この個人的私的整理という制度は、二重ローン、住宅ローンの場合に限らず、東日本大震災の影響で債務の返済ができなくなった人全体を対象にしている制度なんです。この制度を利用すると、借金の整理をしても、いわゆるブラックリストにのらないため特に自営業者の人にはメリットが大きいと思います。

邦丸
被災された皆さんが、出来るだけ早く、暮らしを立て直せるよう、制度を工夫してもらいたいですね。
さて、先日、被災者と東京電力が和解した、というニュースが流れましたね。

山田
原発事故から4・5キロの場所に住んでいて避難された方が、「住めなくなった自宅」の損害賠償を求めていた話ですね。賠償を巡り、住宅の損害が盛り込まれた初めてのケースとして各方面から注目されていました。東電との話し合いがまとまらなかったので、国の機関である「原子力損害賠償紛争解決センター」が間に入り、和解が成立したんです。

邦丸
今回の和解について、もう少し詳しく教えてください。

山田
大熊町にお住まいの、借地に家を所有されていた方です。
住宅の損害1400万円、家財道具の損害475万円、慰謝料が1人当たり142万円、これは事故後8ヶ月分です。それとペット死亡慰謝料も1人当たり5万円、その他合計で2312万円が支払われました。ただ、現状では、借地権の賠償までは認められませんでした。
この和解の重要な点は、この和解金は、今の段階で明らかになった損害分だけのもので、あくまで内金の扱いなんです。東電はそれまで、「今後一切請求しないという条件でなら、この金額を支払う」ということをずっと主張していたんですが、最終的には、その主張を撤回しました。ですから、このお金はあくまで内金で、今後さらに被害が拡大した場合は、それに対しても賠償してもらえる可能性を残した形での和解になったんです。

邦丸
今後は和解が増えていくんでしょうか?

山田
東電は「一度和解金を払ったら、それが最後。そのあとは一切支払わない。」と、強硬に主張していたんで、避難しているみなさんも、請求したくても請求できなかったんですよね。今後、いつになったら家に戻れるかわかりませんよね。そうすると、今後被害額はもっと膨らむ筈です。それを、「一回和解金を受け取ったら最後で、あとは一切弁償しない」なんて言われたら、まだ請求するのはやめようと、どうしてもなっちゃいますよね。今回の和解は、被害救済への大きな一歩になったと思います。賠償の対象者はおよそ150万人もいらっしゃいますから今後申し立てが数万件に上る可能性もありそうです。

邦丸
多くの皆さんが、復興に向けた具体的な手がかりをつかめるといいですね。