文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹代表弁護士が出演 148回テーマ 「特別受益って何?」編

2011年12月20日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

148回テーマ 「特別受益って何?」編
2011年12月20日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹代表弁護士

148回テーマ 「特別受益って何?」編(12月20日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
クリスマスまであと3日。贈り物選びに悩むリスナーさんも多いかと思います。
「贈り物」と言えば「相続」も一種の贈り物ですが、法律上は難しいことも多いですよね。

山田
クリスマスは平和を実感させる年中行事ですが、相続はなかなか「平和」に収まることは難しいですね。とくに、財産をもらう人が複数いる場合で、生前に一人だけが財産の一部を贈られていたりすると、争いのもとになります。

生前にもらった財産のことを、法律では、「特別に受けた利益」と書いて「特別受益」と言います。たとえば、お父さんが2000万円持っていて、自分が生きている間に、お兄さんにだけ1000万円あげて、弟さんには一円もあげていなかったとします。この場合、お兄さんがお父さんから生前に受け取った一千万円がこの「特別受益」になるんです。

邦丸
この「特別受益」がある場合、遺産をどう分けるんですか?

山田
この場合法律的には、「相続のとき、本来2000万円あった筈の遺産のうち、1000万円だけ、お父さんが生きている間にお兄さんに前渡しされた」ということになります。
ですから、お兄さんは2000万円のうち、1000万円前渡しされているんだから、あとに残った1000万円は全部弟さんのものですよと、いうことになるんです。

邦丸
お兄さんが過去にもらった一千万は、お父さんに借金を肩代わりしてもらうのが目的だったとしたらどうですか?

山田
お金をもらったことに変わりはないので、その後、お父さんにまったく返済していないとしたら、やはりすべて弟さんの取り分ということになります。

では、ここで邦丸さんに問題を出します。 お父さんとお兄さん、二人とも海外旅行が大好きで、二人でしょっちゅう海外に遊びに行っていた。費用は全部お父さん持ちで、その合計金額が一千万くらいになっている…という場合はどうでしょう。

邦丸
旅行代を支払ってもらっているから、特別受益になると思います。

山田
正解は「特別受益には当たりません」。「特別受益」は、生活の基礎になるようなお金をもらった場合だけ。海外旅行は娯楽の費用ですから、特別受益ではないわけです。

では、父親が、自分の所有するマンションに、長男夫婦を家賃をとらずに住まわせていた場合はどうでしょう。

邦丸
現金をもらうのとは違うから、特別受益ではないと思います。

山田
これは「特別受益」と見られることが多いケースです。住居費は、借家の場合、家計の3割近くを占めるもので、支出しないで済めば、経済的に大いに助かりますよね。
ただ親と同居して、介護している…といった事情があれば、お兄さんも相応の負担をしている訳ですから「特別受益」には当たらないことになります。

邦丸
では教育費はどうでしょう? 例えば、お兄さんは私立大学を出たけれど、弟は高校までという場合。これは教育費にずいぶん差が出ますよね。

山田
教育費は「特別受益」と見られるケースが多いですね。

相続はそれぞれ状況が違い、細かい部分は法律的な判断が必要になります。お悩みの場合は、弁護士など専門家にご相談いただくのがベストだと思います。